研究課題/領域番号 |
10146222
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
沢木 泰彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30023120)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 安定ラジカル効果 / ラジカルイオン / 光誘起電子移動 / 増感剤 / 光定常状態 / ベンジルラジカル / 脱炭酸 / カルバニオン |
研究概要 |
近年、単寿命の活性中間体とされてきたラジカル種やラジカルイオン種を安定化し、分子磁性体などに用いるための研究が活発になされている。極度に安定化されたラジカルが化学反応に関与すると、安定ラジカル効果により、定常状態濃度に異常が生じる。典型的な例として、増感剤を用いた光誘起電子移動反応では、基質ラジカルイオンの反応性がいくら高くても、安定ラジカル効果により増感剤ラジカルイオンの濃度が増加し、結果的に逆電子移動が優先してしまう。この問題は、活性種を瞬間的に発生させるパルス光照射により回避できるであろう。こうした観点から、本研究は、ラジカルイオン濃度が光誘起電子移動反応の効率・選択性を支配する重要な因子であることを明らかとし、パルス光を用いてこれらの反応を制御する指針を得ることを目的とし、検討を行っている。 今年度は、まず、中間体の定常濃度についての知見を得るために、ラジカルイオン種によるベンジル型ラジカルの酸化還元反応を検討したところ、実際に濃度差があることが明らかとなった。定常光とパルス光照射を併用することにより、ラジカルイオン種の定常状態濃度比と、電子移動速度比の両方を見積もることができた。次に、実際の反応として、カルボン酸塩のレドックス/脱炭酸によるカルバニオンの光化学的発生反応について検討したところ、安定な増感剤ラジカルイオンの濃度異常が観測され、定常光とパルス光で全く生成物が異なる例が示された。
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