研究分担者 |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
岡本 博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40201991)
小島 憲道 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60149656)
腰原 伸也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10192056)
小林 昭子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50011705)
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配分額 *注記 |
83,700千円 (直接経費: 83,700千円)
2001年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2000年度: 19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1999年度: 20,500千円 (直接経費: 20,500千円)
1998年度: 27,200千円 (直接経費: 27,200千円)
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研究概要 |
集積型金属錯体における電気伝導性、磁性、光物性等が連動した新しい型の物性現象の発見を目指して実験を行い以下の成果を得た。 (1)金属錯体系分子性導体Pd(dmit)_2塩において2つの新規超伝導体を発見し,加圧による電子状態の多様な変化(絶縁体,金属,超伝導体等)に対する対カチオンの効果を系統的に研究し,電子構造の次元性と電子相関効果との対応を得た。 (2)遷移金属錯体を含む分子性導体θ-(DIETS)_2[Au(CN)_4]とβ'-Me_4As[Pd(dmit)_2]_2において,1軸性加圧によって誘起される超伝導を見出した。前者の転移温度8Kは,非対称型有機ドナーから構成される系としては,世界最高である。 (3)中性単一分子で室温から極低温(0.6K)まで金属的な性質を示す分子性結晶Ni(tmdt)_2の合成および結晶構造解析に,世界で始めて成功した。 (4)局在電子スピン間の強磁性的相互作用とπ電子系の金属的伝導が共存する最初の電荷移動錯体(EDO-TTFI_2)_2M(mnt)_2(M=Ni, Pt)を開発した。また,局在スピンを含む有機導体(DMET)_2FeBr_4の反強磁性相における磁気抵抗を測定し,磁化曲線との対応からπ-d相互作用の存在を直接的に証明した。 (5)非対称配位子dto(=C_2O_2S_2)を架橋とする新規Fe混合原子価錯体[(n-Pr)_4N][Fe^<II>Fe^<III>(dto)_3]がT_c=6Kの強磁性体であることを見出した。さらに,この強磁性発現には,低温でのスピン状態の変化を伴う電荷移動転移(Fe^<II>→Fe^<III>)が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 (6)トリアゾール架橋Fe(II)錯体,[Fe(trz)_3](R-SO_3)_2系の対アニオンとしてスルホ基を持つイオン交換膜を用いることにより,室温スピンクロスオーバー錯体膜の開発に,世界で初めて成功した。 (7)スピンクロスオーバー錯体の光誘起相転移ダイナミクスにおよぼす外場の影響を検討した結果,磁場,幾何学的境界条件(物質の結晶サイズ)によって,最大1000%にも及ぶ,転移速度の変化を見つけることに成功した。この知見は非平衡相転移ダイナミクスという基礎的視点のみならず,光メモリーの磁場制御という応用的観点からも重要である。 (8)1次元モット絶緑体であるハロゲン架橋Ni錯体において,電場変調分光法を用いて,この系が極めて大きな3次の非線形光学応答を示すことを明らかにした。
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