研究課題/領域番号 |
10149206
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡本 健一 筑波大学, 化学系, 教授 (70132983)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 硫黄架橋多核錯体 / 多核錯体の組織化 / 金属イオンの配位様式 / 平面型多核錯体の制御 / 多核錯体の酸化還元挙動 / 立体構造の制御 / 錯体の立体化学 |
研究概要 |
本研究では、多核錯体の合理的な構築法を開発するため、金属間を架橋できる配位原子や配位子を有する単核錯体と金属イオンとの反応性を種々の結合様式に基づく集積化の観点から追求し、目標とする多核錯体を選択的に構築する合成経路の開発を指向した。本年度は特に以下のプロジェクトを推進した。(1)パイ電子系を有する多核錯体の集積化と制御:生物学的にも重要であるチオラト基を有する平面型単核錯体を用い、平面型配位様式を有する制御された多核錯体の創成手法の開発を試みた。種々のパイ電子系を有する配位子間のπ-π相互作用を用いて金属間を制御し、その金属間を単核錯体で架橋配位させ、多核構造を選択的に集積化することを追求した。この集積化反応で4核錯体を選択的に生成することに成功した。この4核錯体では、平面型配位子のπ-π相互作用に依存して、平行になった金属間を2分子の単核錯体部分が架橋配位し、集積化して安定な錯体を形成できた。さらに、類似配位子についても現在研究を進めており、これら錯体のd-π相互作用や光物性等について、検討を進めている。(2)不対電子系を有する多核錯体の集積化と制御および酸化還元挙動:面配位できる八面体型単核錯体で、複数の酸化数を容易に取りやすいモリブデンイオンを多核構造中に制御して取り込むことを試みた。この結果、モリブンデンイオンの酸化数に単核錯体部分の性質が反映されることを明らかにした。つまり、単核錯体部分を選択することで、中心モリブデン金属イオンの酸化数や酸化還元挙動を制御できることが示唆された。(3)その他:八面型単核錯体と平面型金属イオンの反応性についても検討している。この様に、多核錯体を立体的な制御に基づいて構築し、特異な機能・物性を有する集積型金属錯体に対する合理的な合成法の確立をさらに目指す予定である。
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