研究課題/領域番号 |
10149207
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
池田 龍一 筑波大学, 化学系, 教授 (90022631)
|
研究分担者 |
石丸 臣一 筑波大学, 化学系, 講師 (10251034)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 反強磁性 / 一次元系 / NMR / スピン格子緩和 / 磁化率 |
研究概要 |
反強磁性的相互作用を有する一次元スピン系では低温でスピンの量子力学的揺らぎが残ることが理論的に予想されており、それに従ってNMRの低温での緩和が理論的予測が最近報告されているが、まだ確定した結論に至っていない。そこで本研究では、大きな反強磁性的相互作用の存在が明らかにされている一次元構造を持つ錯体Bis(adenium)dibromocopper(II)bromide,[CuBr_2(AdH^+)_2]Br_2(J=-52.6K)について、磁化率と^1H NMR緩和の温度変化を測定し、最近の緩和理論の検証を試みた。そこで、低温までNMR緩和が測定可能なクライオスタットを新たに設計・製作した。^1H NMRスピン格子緩和時間は自家製パルス分光器を用い、180°-90°0法を用いて、4-300Kで測定した。磁化率の温度変化を5-280Kで測定した。 磁化率の温度変化は低温で常磁性不純物の影響と思われる磁化率の増加が観測されたが、その他の温度領域では報告値とほぼ一致し、J=-55.8Kを持つ一次元モデルでよく説明された。^1HNMRスピン格子緩和時間T_1の温度変化は高温で一定値に近づき、強く結合したスピンモデルで説明された。 一次元Heisenbergスピン系の核磁気緩和については、最近、Sachdevらがスピンの揺らぎを考慮して、低温での緩和を予測している。それによれば、温度領域T/|J|<0.5のおいては、 T_1∝ln^<1/2>(|J|/T) の関係が予測されている。J値が大きい本錯体について、低温での実測のT_1温度変化に対して、我々の実測値J=-55.8Kを用いてこの理論予測を最適化すると実測の結果とほぼ一致した。詳細は別にして、4-20Kの範囲の実測T_1はこの理論式でほぼ再現されると考えられる。
|