研究課題/領域番号 |
10149233
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
棚瀬 知明 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50207156)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 遷移金属クラスター / 三座ホスフィン / 金属-金属結合 / 集積型錯体 / イソシアニド / 白金 / 有機金属化合物 / 分子軌道法 |
研究概要 |
本研究は、主として我々がこれまでに開発した種々の金属-金属結合を有する同種・異種金属三核錯体を有機連結配位子を用いて様々な配向性を持たせながら逐次的に集積することにより新しい機能を持つ複合材料を開発し、その機構を分子レベルで解明しようとするものである。小クラスター分子の配向集積化は、金属-金属結合の新たな反応性・物性を生み出すだけでなく、配向の様式によって電気伝導性、分子認識性、光応答性等の性質を付加できることが予想され、新規多機能性複合材の開発の端緒を開くものと考えられる。 1. 金属-金属結合を持つ小クラスターユニットの合成 直鎖状3座ホスフィンdpmp(bis(diphenylphosphinomethyl)phenylphospine)を用い白金をベースとした異種・同種金属小クラスター分子の開発を行った。特に、白金三核錯体syn-[Pt_2(dpmp)_2(RNC)_2](PF_6)_2及びanti-[Pt_2(dpmp)_2(RNC)_2](PF_6)_2を原料に用いた位置選択的O価Pt及びPdフラグメント取り込み反応により、直鎖状白金三核錯体、linear-[PtPtM(dpmp)_2(RNC)_2](PF_b)_2(M=Pt(1)、Pd(2))及びA-フレーム型三核錯体、A-frame-[PtMPt(dpmp)_2(RNC)_2](PF_6)_2(M=Pt,Pd)が得られその詳細を各種分光法、X線結晶構造解析、分子軌道法等により明らかにした。白金をベースにしたクラスター以外にも、Mo.Au.Ru.Fe等の二〜四核錯体の合成を試みた。 2. 直鎖状白金三核錯体の電子状態 直鎖状のクラスター集積化の重要な素子と考えられるlinear-[Pt_3(dpmp)_2(RNC)_2](PF_6)_2(1)の電子状態について分子軌道法(EHMO計算、DFT計算)により検討を行った。 3. 直鎖状白金三核錯体の反応性(金属-金属結合の利用) 直鎖状白金三核錯体(1)と有機小分子との反応を行った。特に、テトラシアノエチレン(TCNE)との反応では、TCNE二分子が白金三核骨格上でカップリングしシクロペンテンイミドとして一つの金属-金属結合に挿入した錯体が得られた。この反応はPt(I)二核錯体では起こらないことから、直鎖状白金三核体特有の反応と考えられる。また、NOBF_4との反応では二つのニトロシル基が白金三核中心に架橋したDouble-A-Frame骨格を有する錯体が得られた。二つの金属-金属結合が同時に反応したのはこれが初めての例で、一酸化窒素の選択的固定・変換システムにつながるものと思われる。 4. 直鎖状白金三核錯体における軸配位子置換反応(クラスターの集積化にむけて) 1項でも述べたように直鎖状白金三核錯体の反応性・物性のチューニング及び一次元のクラスター集積化を行うためには、末端イソシアニド軸配位子の交換反応が非常に重要となる。そこで、軸配位子交換の可能性を調べる目的で、錯体(1)と種々のイソシアニドとの反応を試みた。種々の直鎖型錯体を合成した。
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