研究課題/領域番号 |
10149241
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松本 尚英 熊本大学, 理学部, 教授 (80145284)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 磁性 / 金属錯体 / スピン / 結晶構造 / 次元性 |
研究概要 |
従来、磁性体の構築には、2種類の磁性源を混合して、(M(A)-M(B))nの交互配列を実現し磁性体を合成する手法が取られてきた。これとは異なる手法で、単一の磁性源から磁性体を合成する手法を見いだした。 [Mn(H_2O)(salen)]ClO_4にNaCN水溶液を加えると[MnCN(salen)]の組成をもつ赤色微結晶が生成する。この化合物の室温での有効磁気モーメントは、Mn(III)イオンの高スピン(S=2)と低スピン(S=1)に予想されるいずれの値とも合わない。磁化測定等より、強磁性的相互作用と反強磁性的相互作用が働き、全体としてメタ磁性体であることがわかった。X線構造決定は、薄片状の結晶のために、CCDカメラ方式で決定した。.ひとつのMnイオンは、サレン配位子とふたつのCN基のN原子のみで配位されているのに対して、もうひとつのMnイオンは、サレン配位子とふたつのCN基のC原子のみで配位されている。この化合物は、2種類のMnイオンが交互に連結した1次元構造をもつ。CN基の配列の特異性がこのような交互配列をもたらした。磁気的には、CN架橋の高スピン(S=2)と低スピン(S=1)の交互配列により説明される。出発物質である[Mn(H_2O)(salen)]ClO_4は、高スピン(S=2)型のMn(III)イオンのみを含んでいる。従って、磁気モーメント(S=2)をもつ1つの金属錯体から、スピンの不均化により高スピン(S=2)と低スピン(S=1)のMn(III)イオンが交互に連結して磁性体が生成したことを示している。従来、2種類の磁性源を混合して交互配列を実現し磁性体を合成する手法が取られてきたが、これとは異なる手法で、単一の磁性源から磁性体が合成できることを意味する。
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