研究概要 |
ホスト性金属多核構造が可能な系として、大環状配位子による前集積型ホストの創製を計画し、様々なゲスト分子(または架橋基)を導入することにより多様な集積構造の達成を目指した。配位子設計においては金属イオンの組み合わせが可能であり、且つ多様な四核集積構造に対応できることを意識し、2種類の大環状配位子(H_2L1_<py>、H_2L2_<py>)を合成した。 H_2L1_<py>とH_2L2_<py>は2価の金属イオンに対して有効な四核化配位子であることが確認された。[Cu_4(L1_<py>)(μ-OH)_2(ClO_4)_2](ClO_4)_2(1)のX線解析によりこの錯体が環状ホスト構造を有することを確認した。架橋OH基間の距離(6.21Å)を空孔サイズと見なした場合、サイズ調整は配位子の選択(H_2L1_<py>orH_2L2_<py>)によって可能となる。両配位子において[M_4(L1_<py>orL2_<py>)(μ-OH)_2(ClO_4)_2](ClO_4)_2(M(II)=Cu,Mn,Zn)が単離されており、金属種と空孔サイズの異なる多様なhomo-metal系ホストの合成法が確立できた。実際に錯体(1)にオギザレートを反応させると[Cu_4(L1_<py>)(μ-ox)(CH_3CN)_2](ClO_4)_2・2CH_3CN(2)が得られ、架橋性配位子導入による環内集積構造の達成に成功した。 ヘテロメタル4核系を合成するにあたってはM_2二核系を合成した後、異種金属M'_2を挿入するステップワイズ法によるM_2M'_2型へテロ四核系をターゲットとした。二核系前駆体として[Fe_2(H_2Ll_<py>)(μ-OH)_2](ClO_4)_4・3CH_3CN(3)と[CU_2(H_2Ll_<py>)(μ-ox)](ClO_4)_2(4)の単離に成功している。(4)を出発としてCu_2Ni_2ヘテロ四核系が得られることを見い出した。
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