研究課題/領域番号 |
10149259
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
田中 晃二 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (00029274)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | プロトン濃度勾配 / 電流へのエネルギー変換 / ルテニウム-アコ錯体 / 分子内電子移動 / 高原子価オキソールテニウム錯体 |
研究概要 |
細胞膜内外のプロトン濃度勾配を駆動力とするATP合成は生体系にとって生命維持のために最も重要なエネルギー変換反応である。通常、化学的な水系での酸化、還元反応では溶液のプロトン濃度が大きく変動することを抑制するために、緩衝剤を使用するが、人工的な反応系においてもプロトン濃度からのエネルギー変換が可能となれば、資源・環境・エネルギー問題に非常に大きな貢献が出来るものと期待される。本研究では酸化還元活性なキノンまたはチオレン配位子を有するルテニウム-アコ錯体は溶液のプロトン濃度に従ってアコ基からプロトン解離を起こし、ヒドロキシ基に生じた負イオンからキノンあるいはチオレン配位子への分子内電子移動で、それらの配位子が還元されることを明らかにした。その結果、プロトン濃度変動によるアコ配位子の酸・塩基平衡にカップルして、極めて酸化還元電位の異なるルテニウム一アコ、一ヒドロキソおよび一オキソ錯体が生成することが明らかになった。さらに、3種の金属錯体間の酸化還元反応を外部回路を通して行うことにより、人工的な系では初めて、プロトン濃度勾を直接、電流にエネルギー変換することに成功した。さらに、ルテニウム一オキソ錯体を酸化することにより、極めて酸化力の強い高原子価のオキソールテニウム錯体の形成に成功し、シクロジエン類の脱水素反応を触媒的に進行させることにも成功した。
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