研究概要 |
(1) Rel/IκB複合体活性化シグナルの解析: TRAF5,TRAF6には酵素活性が無く下流のカイネースの活性化機構は不明であった。クマリンと大腸菌のgyraseB(GyrB)が結合することを用いて、TRAFとGyrBの融合蛋白質を発現させ、二価クマリンを添加することによって細胞内でTRAF二量体を形成させたところ、TAK1,IKKの活性化がTNFaやIL-1と同様に誘導された。即ちTRAFの二量体形成により下流シグナルが活性化されることが判明した。 (2) CD40シグナルによるRel活性化と生理機能:CP40細胞質領域の220-245(cyt-N)と246-270(cyt-C)の二つの領域が独立にNFκBを活性化すること及び、TRAF6との結合にはcyt-NがTRAF5との結合にはcyt-Cが必要十分であることを明らかにした。また235番目のGluをAlaに置換したcyt-N(E235A変異体)はTRAF6と結合せずNFκB活性化能も無かった。cyt-N,cyt-Cの細胞増殖での役割を解明するためWEHI231細胞に種々のCD40変異体を発現させ解析した。その結果、cyt-C単独でも抗原受容体シグナルによる増殖抑制を解除するが、cyt-N欠失により恒常的活性化変異体となった。TRAF6との結合が消失するE235A変異では活性化が見られないことから、cyt-NはTRAF6と関係なく、構造的にリガンド依存性を成立させるのに必要であると考えられる。またcyt-Cの細胞増殖活性はTRAF2,3,5との結合能を失う変異で消失した。またTRAF6欠損マウスは生まれにくく、生まれたマウスも発育が遅れ、生後16日程で死亡する。大理石症で、骨髄が海綿骨で満たされている。また脾臓を呈しB細胞が顕著に減少している。従って、TRAF6は骨とB細胞の分化に必須であると結論された。
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