研究課題/領域番号 |
10151247
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 俊哉 自治医科大学, 医学部, 講師 (60281292)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | アポトーシス / BH3因子 / Bim / Bcl-x / Bcr-Abl / 活性化Ras / E2A-HLF / 白血病 |
研究概要 |
アポトーシスの制御異常と白血病発症の関連を分子生物学的に解明する目的で、B前駆細胞で機能するBH3(Bcl-2 Homologous Region-3)因子を同定し、その制御機構を解析、発癌遺伝子との関連について検討を行った。BH3因子はBcl-2ファミリー因子が共有するBHl〜4領域のうちBH3ドメインのみを有し、Bcl-2ファミリー蛋白と結合し、その機能を抑制することによって細胞をアポトーシスに誘導する蛋白である。IL-3依存性B前駆細胞であるBaf-3細胞を用いてサイトカイン依存性に発現が制御されているBH3因子を検討したところ、既知の哺乳類のBH3因子のうち、BimがそのmRNA・蛋白レベルで制御されていることが判明した。Bimを強制発現させると細胞をアポトーシスに導くことから、全く逆の動きをするBcl-x_Lと共同でサイトカイン依存性アポトーシスを制御していることが判明した。Bimの発現制御はIL-3受容体全域にまたがる領域由来の複数の経路が共同でコントロールしている可能性が考えられた。またIL-3はBimをリン酸化してその機能を調節しているようであるが、これらの点についてはなお検討中である。われわれがこれまでに同定してきた、サイトカイン欠乏によるBaf-3細胞のアポトーシスを抑制する発癌遺伝子のうち、Bcr-AblキナーゼはBcl-x_Lの発現を促進しBimの発現を抑制した。これに対し活性化Ras変異体とE2A-HLF転写因子はBimの発現に影響をおよぼさなかった。 サイトカインはBcl-x_Lの発現をコントロールすることが知られていたが、さらにBimの発現とリン酸化を通じてアポトーシスを制御していることが明らかとなった。また、Bcr-AblキナーゼがBcl-x_Lの発現促進とともに、Bimの発現を抑制することは、BimやBH3因子が発癌遺伝子の標的分子であることを示唆したものであり、そのメカニズムの検討が次年度の課題として残された。
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