研究課題/領域番号 |
10152223
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古川 鋼一 名古屋大学, 医学部, 教授 (80211530)
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研究分担者 |
古川 圭子 名古屋大学, 医学部, 助手 (50260732)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ガングリオシド / 糖脂質 / 糖転移酵素 / メラノーマ / GD3 / PC12 |
研究概要 |
ヒトのメラノーマやT細胞白血病に特異的に発現するGD3の細胞増殖における意義につき、GD3合成酵素遺伝子を種々の細胞に導入して、その表現型の変化を検討することにより解析した。まずラット褐色細胞腫PC12に、GD3合成酵素遺伝子を導入したトランスフェクタントでは、1.著しい増殖速度の亢進、2.神経成長因子(NGF)による分化誘導に対する不応、3.無血清処置によるアポトーシスへの抵抗性の獲得などが主な変化として観察された。著しい増殖能をもたらしたメカニズムの検討のため、NGF受容体TrkAのリン酸化、その下流のMAPキナーゼの活性化状態につき検討したところ、GD3合成酵素遺伝子導入細胞では、NGF刺激の有無に関わらず、TrkAのリン酸とMAPキナーゼの活性化を認めた。種々のキナーゼインヒビターを用いた増殖抑制実験の結果から、このトランスフェクタントで見られる増殖の亢進がTrkA/Ras/MAPキナーゼ系を介していることが示唆された。また、TrkAの二量体形成もNGF刺激に無関係に見られた。よって遺伝子導入によりTrkAの構造的変異が惹起され、恒常的な活性化状態を招いたと思われる。また、無血清培地によるアポトーシス誘導に対して、このトランスフェクタントは抵抗性を示したが、PI3キナーゼインヒビターのワルトマニン存在下ではアポトーシス抵抗性が消失した。よって、このトランスフェクタントでは糖鎖変化によってPI3キナーゼ活性が上昇していることが示唆された。これらの結果は、メラノーマやT細胞白血病の腫瘍増殖の機構の一部を反映するものと思われ、現在メラノサイトに対する遺伝子導入、糖脂質改変を行って、その細胞変化の検討を行っている。
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