研究課題/領域番号 |
10152247
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
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研究分担者 |
荒木 令江 熊本大学, 医学部, 助手 (80253722)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
1999年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1998年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / グリオーマ / warts / 6q25 / NF2 / PARP / CD44 / メタロプロテアーゼ / カルパイン / 1(3)mbt / NE-dlg / NEURL |
研究概要 |
脳神経系に発生する腫瘍は、悪性は勿論のこと、良性腫瘍でも発生部位によっては患者の生命を脅かす事が時により、治療の最も困難な疾病の一つと言える。本研究は脳神経系腫瘍形成の要因となる各種癌抑制遺伝子の変化と、それによって生じる生物学的特性を明確にすることを目的として行った。本期間中の成果を要約すると: 1)悪性グリオーマの進展過程において高頻度に異常が認められる6番染色体長腕6q25領域にショウジョウバエ腫瘍抑制遺伝子wartsのヒト相同遺伝子(h-warts)が存在することを同定し、その産物が細胞分裂を制御するセリン・スレオニンキナーゼであることを見いだした。 2)神経線維腫症2型(NF2)は多発性頭蓋内良性腫瘍を主徴とする遺伝性疾患である。その原因遺伝子にコードされる蛋白merlinは細胞内でpoly-ADP ribose polymerase(PARP)と結合し、PARPによってpoly(ADP)ribosyl化を受けることによって細胞内での局在が変化することを見いだした。 3)悪性グリオーマは脳組織中を浸潤する能力が高く、その予後が不良である大きな要因となっている。ヒアルロン酸は脳実質細胞外マトリクスの主成分であることから、その結合受容体であるCD44分子はグリオーマ細胞の脳内での運動及び浸潤に関与していると考えられる。悪性グリオーマ細胞株において、CD44が細胞外ドメインで切断を受けていることを見いだした。この切断は膜型のメタロプロテアーゼによって行なわれており、カルシウムイオンの細胞内流入やRhoファミリー蛋白質活性に依存して調節されていることが分かった。また、この切断を阻害することによってヒアルロン酸細胞外マトリクス上のグリオーマ細胞の運動性を阻害することができた。
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