研究課題/領域番号 |
10152248
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 直人 熊本大学, 医学部, 助教授 (00166620)
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研究分担者 |
須田 年生 熊本大学, 医学部, 教授 (60118453)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1998年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | Csk homologous kinase(chk) / Csk / Src型チロシンキナーゼ / 染色体 / 細胞分裂 / 分裂気紡鍾糸 / チロシンリン酸化 |
研究概要 |
Src型チロシンキナーゼの酵素活性は、増殖因子などの刺激によって一過性の活性上昇を起こし、C-terminal Srckinase(Csk)により抑制的に調節される。発癌遺伝子産物として知られているSrc型キナーゼの変異体は、抑制調節を全く受けずに恒常的活性化を示す。Src型キナーゼとその活性制御機構は多細胞生物特有である。ヒトなどの哺乳動物細胞でのSrc型キナーゼの機能を研究することは、制癌においてとても重要である。我々は、Cskhomologous kinase(Chk)がCskとファミリーを形成すること、膜結合型Chkを介したLynキナーゼ選択的Src型キナーゼ制御機構の存在を明らかにしてきた。本研究では、Chkを恒常的過剰発現したKMT-2血液系細胞で見られる増殖の遅延・多核化を調べるために、生きたままの分裂期の細胞を微分干渉光学系顕微鏡下で経時的に観察した。染色体整列が不完全である細胞が多く見られた。さらに、多数の不均衡染色体分配を起こしたときに、疑似細胞質分裂を経由した細胞質分裂不全が誘発され、細胞の多核化形成の決定的瞬間を初めて観察することができた。Src型キナーゼLyn・pp64およびChk・Cskが分裂期染色体と分裂期紡錘糸に強固に会合していた。Chk過剰発現によりLynの自己リン酸化の減少を伴うpp64のチロシンリン酸化の亢進が見られ、紡錘糸の形成ががなり抑制されていた。Src型キナーゼとその調節因子が分裂期染色体の動態に重要な役割をもつものと考えられる。 したがって、染色体と紡錘糸上に存在するSrc型キナーゼとその制御機構の平衡の傾きによるチロシンリン酸化の変動が、紡錘糸形成を通して染色体の動態に影響を与えている可能性が考えられる。
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