研究概要 |
Tecチロシンキナーゼはプレックストリンホモロジー(PH)ドメインを有する非受容体型チロシンキナーゼでありBtk,Itk,Bmx,Txkらと共にTecファミリーを形成する。これまで我々はTecがサイトカイン受容体刺激によって活性化されることを明らかにしてきた。我々は本研究計画においてTecキナーゼの活性調節機構を詳細に検討すると共に、Tecの下流に働く機能分子の同定を試みた。その結果Tecが、ヒト末梢血血小板において細胞表面IIbIIIa蛋白、トロンビン受容体の刺激によって、またBリンパ球においては細胞表面CD19、B細胞受容体(BCR)刺激によってそれぞれ活性化されることが確認された。したがってTecはサイトカイン受容体だけでなく、インテグリン、リンパ球表面抗原、三量体G蛋自共役型受容体などからのシグナルを伝達することが示された。Tecキナーゼの下流に関しては、低分子量G蛋白質の一種であるRhoがTecキナーゼによるシグナル伝達機構の下流に働く機能分子であることを明らかにした。またこの作用はTecキナーゼに固有であり、Srcチロシンキナーゼには認められなかった。さらに酵母のtwo-hybrdi法を用いたTecの基質スクリーニングによってGrb10,JAB/SSI-1/SOCS-1,Sakキナーゼなど複数のシグナル伝達分子がTecの下流に働くことが示された。また我々がBRDGlと名付けた新たなドッキング蛋白のクローニングにも成功した。
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