研究課題/領域番号 |
10152261
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
加藤 光保 癌研究会, 癌研究所生化学部, 研究員 (20194855)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 角化細胞 / 扁平上皮癌 / transforming growth factor-β / SMAD / 増殖抑制 / 浸潤 |
研究概要 |
1.扁平上皮癌浸潤モデルの確立:コラーゲンゲルを用いた3次元培養法により、扁平上皮癌細胞がコラーゲンゲル内への浸潤性増殖を示す培養実験系を確立した。 2.変異SMAD(Smad3D407E)によるTGF-βシグナルの抑制二大腸癌でSmad2に見つけられた変異と相同な変異を導入したSmad3D407EはSMADを介するTGF-βシグナルに優性抑制的に作用した。また、この変異Smad3を角化細胞株HaCaTに発現させると、TGF-βによる増殖抑制作用に抵抗性となった。さらに、このTGF-βに抵抗性を獲得した角化細胞を3次元培養で解析したところ、浸潤性増殖能を獲得していた。 3.がんにおけるTGF-βシグナルの異常:甲状腺乳頭癌の免疫組織化学的検索により、TGF-βの染色性が高い症例は転移が多いことが示された。 4.TGF-β特異型SMAD; Smad2とSmad3の機能解析:Smad2Δexon3というスプライス変異体を見つけた。Smad3によって発現が強く誘導されるp3TP-luxをレポーターとした場合、この変異体はSmad3と同等の発現誘導能を示した。このプロモーター領域にはSmad3は結合できるがSmad2は結合できない配列があるが、Smad2Δexon3はこの配列に結合し、exon3によってコードされた30アミノ酸がSmad2とSmad3のDNA結合能の違いを決めていた。また、角化細胞株HaCaTにおいて、TGF-βはSmad2とSmad3の両者を強く活性化したが、アクチビンは主にSmad3を活性化した。 5TGF-βシグナルの標的遺伝子:TGF-βによる角化細胞の増殖抑制においてc-mycがSMADの標的遺伝子になっていた。また角化細胞におけるTGF-βの初期応答遺伝子のcDNA配列を決定した。この遺伝子は分子量19kDa、等電点10.9の新規塩基性核蛋白をコードしていた。
|