研究課題/領域番号 |
10153216
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
|
研究分担者 |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | p53 / ES細胞 / ジーンターゲッティング / 標的遺伝子置換 / 点突然変異 / マウス / ノックアウトマウス / 胸線リンパ腫 |
研究概要 |
ヒト腫瘍から頻繁に検出されるp53遺伝子変異は点突然変異が最も多く、この点突然変異がドミナントネガティブに働く可能性を考えると、特定の点突然変異が腫瘍の組織特異性を決めている可能性がある。本研究は、これまでの研究成果をもとに、p53遺伝子を点突然変異に置き換えたマウスの作成を行ない解析することを目的とした。ヒトLi-Fraumeni症候群で最も多く検出されるアミノ酸変異を伴うp53遺伝子の点突然変異は、248番目のアミノ酸がアルギニンからトリプトファンへの変異である。そこで、ヒトp53遺伝子の248番目に相当するマウスp53遺伝子245番目のアルギニンをトリプトファンに変異したマウスを作成した。p53遺伝子点突然変異マウスは、ヘテロ型、ホモ型マウス共に期待値の産仔を認め、正常に発生成長した。さらに、野性型、ヘテロ型、ホモ型マウスの寿命と自然発生の腫瘍を経過観察した結果、ホモ型p53遺伝子点突然変異マウスは高頻度に胸腺リンパ腫を発症し、生後6ヶ月以内に死亡した。ヘテロ型p53遺伝子点突然変異マウスからも胸腺リンパ腫を発症するマウスを認め、腫瘍組織のp53遺伝子を解析した結果、正常p53アレルのLOHが認められた。p53欠損マウスとp53点突然変異マウスで認められた自然発症腫瘍は、腫瘍の種類や発症時期に大きな違いが認められず、また平均寿命も類似していた。この結果は、p53遺伝子コドン245番目のアルギニンからトリプトファンへの変異は機能喪失型の変異体であり、p53遺伝子の特定な点突然変異が腫瘍の組織特異性を決めている可能性が少ないことを示唆している。続いて、胸腺における放射線誘導性のアポトーシスに対する影響を解析した。野性型、ヘテロ型、ホモ型p53点突然変異マウスに30Gyのγ線を照射し、10時間後に胸腺を摘出した。胸腺細胞よりDNAを抽出してゲル電気泳動によりアポトーシスの有無を調べた結果、野性型、ヘテロ型マウスではアポトーシスを認め、ホモ型マウスはアポトーシスを認めなかった。これは、p53欠損マウスと同様の結果であり、正常p53遺伝子に対するドミナントネガティブ作用は認められなかった。
|