研究課題/領域番号 |
10153237
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉崎 和幸 大阪大学, 健康体育部, 教授 (90144485)
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研究分担者 |
松本 智成 大阪大学, 健康体育部, 助手
西本 憲弘 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80273663)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | ミエローマ / SSI-1 / ネガティブフィードバック / IL-6 / STAT-1 / STAT-3 |
研究概要 |
IL-6は骨髄腫細胞の増殖因子であり、かつデキサメサゾンが誘導する骨髄腫細胞のアポトーシスを阻害する。STATs-induced STAT inhibitor-1(SSI-1)はIL-6刺激によりSTATlとSTAT3のリン酸化を介して誘導され、JAKに結合しJAKの機能を阻害してIL-6によるSTATlとSTAT3のリン酸化を抑制する、IL-6シグナルのネガティブフィードバック因子であり、多発性骨髄腫の病態に関与する可能性がある。そこで骨髄腫細胞株を用いてSSI-1の発現ならびにIL-6による発現の誘導の可否を検討し、SSI-1の発現異常の有無を検討した。実験に用いた6種類の骨髄腫細胞株(OCI-My5、RPM18226、U266、Hs、ARH77、IM9)のうち、OCI-My5、RPMI8226、U266ではIL-6の刺激後30分でSTAT-1とSTAT-3の一過性のチロシンリン酸化が誘導され、それに引き続き約60分をピークとするSSI-1の一過性の発現誘導が観察された。一方、Hs、ARH77、IM9の3株では無刺激の状態でもSSI-1は大量に発現されており、IL-6を用いた刺激を行っても発現量に変化はなかった。さらにこれらの細胞株ではSTAT-1とSTAT-3のチロシンリン酸化は認められなかった。そこでSTATlとSTAT3のリン酸化が生じSSI-1が誘導されるグループよりOCI-My5、STATリン酸化は生じず、SSI-1が恒常的に発現しているグループより,ARn77を用いSSI-1の遺伝子の強制発現ならびにSSI-1の遺伝子消去実験を行った。OCI-My5へのSSI-1導入によりIL-6によるSTAT-1とSTAT-3のリン酸化は抑制された。またARH77においてはSSI-1の消去によりIL-6によるSTAT-3のリン酸化が回復した。以上により、骨髄腫細胞株の一部にはSSI-1の恒常的発現があり、それがIL-6のシグナル阻害に関与していることを確認すると同時に、SSI-1遺伝子導入によるIL-6依存性骨髄腫の治療の可能性を明らかにした。
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