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食道癌のNM23-H1の発現に基づいた化学療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10153243
研究種目

特定領域研究(A)

配分区分補助金
研究機関山口大学

研究代表者

岡 正朗  山口大学, 医学部, 教授 (70144946)

研究分担者 吉野 茂文  山口大学, 医学部, 助手 (60294633)
硲 彰一  山口大学, 医学部, 助手 (50253159)
林 弘人  山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60218592)
研究期間 (年度) 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
キーワードnm23-H1 / 食道癌 / CDDP / S-Fu / VP-16 / 薬剤感受性 / 予後 / アンチセンス
研究概要

抗癌剤シスプラチンの感受性に深く関わるnm23-H1/NDP kinase Aの発現を検討し、以下の諸点を明らかにした。
(1) 対象は食道偏平上皮癌50例で、癌部をnm23-H1に特異的なモノクローナル抗体H1-229 (生化学工業)を用いてLAB法に準じて染色した。nm23-H1陽性症例は23/50(46%)、nm23-H1陰性症例は27/50(54%)であった。両群間の背景因子に差はなく、リンパ節転移との関連性も認められなかった。しかし、nm23-H1陽性群とnm23-H1陰性群の1,3,5生率は91.3%vs63.0%,67.9%vs36.7%,62.2%vs32.6%であり、明らかにnm23-H1陽性群の予後が良好であった(P<0.05)。このnm23-H1発現による予後の差はリンパ節転移(+)30例で認められたが(P<0.01)、リンパ節転移(-)20例では認められなかった。また、多変量解析により、術後EFP(VP-16,5-FU,CDDP)療法を受けた32例において、nm23-H1の発現が最も予後に関連のある因子であることが判明した(P<0.001)。
(2) アンチセンス遺伝子移入により、nm23-H1タンパク発現の異なる細胞を作製し、これらの細胞を用いてVP-16,5-FU,CDDPとの感受性を検討した。MTTassayによりnm23-H1の発現はCDDPの感受性と逆相関したが(r=-0.935,P<0.02)、VP-16、5-FUとの感受性とは関連がなかった。さらに、CDDPによるミトコンドリア膜電位差(ΔΨm)の消失率はnm23-H1低下クローンにおいて、コントロール細胞に比し明らかに低率であり、DNAフラグメンテーションの結果からもnm23-H1低下クローンはCDDPによるアポトーシスに抵抗性を示すことが判明した。
EFP(VP-16,CDDP,5FU)療法後の食道癌患者の予後とnm23-H1の発現が関連することを免疫組織学的に確認し、さらにantisense transfection assayを用いてnm23-H1の発現低下がCDDPにより生じるアポトーシスに抵抗性を示すことをミトコンドリア膜電位差(ΔΨm)の消失率およびDNAフラグメンテーションより証明した。
これらの結果は、個々の症例におけるCDDP感受性を判定する上で、nm23-H1の発現解析が重要であるばかりか、CDDPの抗腫瘍効果を増強するという観点から、nm23-H1/NDP kinase Aをターゲットとした新薬開発の臨床的有用性を示唆するものである。さらに、ガンマリノレン酸が食道癌細胞のnm23-H1タンパクの発現を誘導することが判明しつつあり、本研究の結果は、今後、nm23-H1の発現に基づいた化学療法開発の進展に大いに貢献するものと考えられた。

報告書

(1件)
  • 1998 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Iizuka,N.: "The association between nm23-H1 expression and survival in patients with esophageal squamous cell carcinoma." Cancer Lett. (in Press).

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] Iizuka,N.: "The nm23-H1 gene as a predictor of sensitivity to chemotherapeutic agents in oesophageal squamous cell carcinoma." Br.J.Cancer. (in Press).

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書

URL: 

公開日: 1998-04-01   更新日: 2016-04-21  

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