研究課題/領域番号 |
10153252
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河野 通明 長崎大学, 薬学部, 教授 (00027335)
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研究分担者 |
片岡 貞 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00082975)
河野 功 長崎大学, 薬学部, 教授 (20038607)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1998年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 細胞がん化 / シグナル分子 / MAPキナーゼ / MAPキナーゼ・キナーゼ(MEK) / MEK阻害剤 / アポトーシス / 細胞周期動態 / 制がん剤 |
研究概要 |
1. MAPキナーゼの恒常的活性化が認められた全ての癌細胞/癌組織においては常にMAPキナーゼ・キナーゼ(MEK)が活性化されており、またRaf-1についてもその95%において活性化パターンが一致した。一方、MAPキナーゼ活性化とras遺伝子の恒常的活性型変異との相関については一致しない症例を多数認めた。すなわち、各癌細胞におけるMAPキナーゼ恒常的活性化の原因は、(1)MAPキナーゼ自身の機能異常ではない、(2)MEKの異常がその原因となっている可能性も低い、(3)その原因の大部分はRas、あるいはその上流に位置する何らかのシグナル分子(増殖因子受容体、GRB2、Sosなど)の機能異常にある可能性、が示唆された。 2. MAPキナーゼが恒常的に活性化されている癌細胞株において特徴的に、MEK阻害剤(PD98059)処理でMAPキナーゼ系を特異的に遮断することによってその周期動態に著しい影響が認められ(24時間でほぼ完全なG1期停止)、48時間以降ではアポトーシス様細胞が増加する傾向を認め、また96時間後ではアポトーシス誘導に特徴的な核の分断化、クロマチンの凝縮、さらに核DNAのヌクレオソーム単位への断片化を確認した。一方、ヒト二倍体繊維芽細胞、MAPキナーゼに恒常的活性化が認められない癌細胞に対して、PD98059は上述のような影響を示さなかった。すなわち、MAPキナーゼ活性が顕著に上昇している癌細胞に対しては、MAPキナーゼ系を特異的遮断する薬剤が実際に「制癌」につながる可能性が示唆された。 3. 上記癌細胞においてみられたMAPキナーゼ系の遮断に伴うG1期集積の分子機構に関しては、幾つかのG1期調節蛋白質に焦点を当てて解析を進めた結果、PD98059処理12〜24時間後よりサイクリンA、サイクリンB1の発現量の減少(サイクリンD、サイクリンE1の発現量は不変)、RB蛋白質のリン酸化の減少、さらにp21ファミリーに属するCDKインヒビターの発現上昇を認めている。
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