研究概要 |
<研究目的> 癌の根治を目指した新しい癌遺伝子治療法の開発を目的とする。l.高率な遺伝子導入と、長期の遺伝子発現を可能とする新しいキメラベクターの開発を行う。2.申請者らが開発してきたアデノウイルスベクター(ADV)による自殺遺伝子のヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ(HSV-tk)と種々のサイトカイン遺伝子のコンビネーション癌遺伝子治療に加え、「癌の浸潤・転移の阻止も加えた新しい癌遺伝子治療の開発」を行う。 <研究実績の概要> 1. レトロウイルスの構造遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを作製した。 2. 簡易、短期間で作製可能な高力価レトロウイルスの作製法を開発、確立した。 3. 癌の浸潤・転移の初期のプロセスである、細胞外基質の限定分解に焦点を当てたファイブロネクチン分解・浸潤モデル(in vitro invasion assay)にて、CD9ramily分子(CD9、CD81,CD82,SFA-1,CD37,CD53,CO-029,A15,CD37)の遺伝子導入による、ファイブロネクチン分解・浸潤への作用効果を調べ、CD9family分子が種々の程度で癌の浸潤を抑制することを見いだした。 4. アゴニステイック作用をもつ抗Fas抗体、あるいはエンドトキシンの投与により、in vitro及びin vivoで肝細胞のアポトーシスを誘導し、HGFの抗アポトーシス作用、及びその分子機構を調べた。HGFがBcI-xL分子の発現誘導を介して caspaseのシグナル伝達を阻止し、強い抗アポトーシス作用示すことを見いだした。 <今後の方針> 1.キメラベクターの疾患モデルでの有用性を検討していく。2.CD9 faamily分子の癌の浸潤抑制効果が、癌遺伝子治療に有用かin vivoの癌モデルにて検討する。3.HGFアンタゴニスト遺伝子治療の有用性を検討していく。
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