研究概要 |
神経新生に関連すると考えられるリゾホスファチジン酸(LPA)受容体(vzg-1及び未同定の受容体)の細胞内情報伝達機構の解明を目的として、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系及びアフリカツメガエル卵母細胞発現系による研究を行った。バキュロウイルス発現系を用いた実験では、すでにクローニングされているvzg-1を各Gタンパク(G_S,G_<il>,G_<oA>,G_<11>)と共発現させ、LPA依存的[^<35>S]GTPγS結合活性を指標に機能的連関を解析した。その結果、LPA受容体とG_<il>、G_<oA>、G_<11>を共発現させた膜標品では、LPA濃度依存的に[^<35>S]GTPγS結合活性上昇が見られ、これらGタンパクとvzg-1が連関することを明らかにした。G_Sとの連関は見られなかった。また、この共発現系でLPA非存在下においても、vzg-1発現によりG_<il>の[^<35>S]GTPγS結合活性上昇が観察された。リガンド存在下で連関するG_<oA>に対しては、LPA非存在下での活性化は見られなかった。さらにG_<il>で見られるLPA非依存的な活性上昇が、GTPγSに対する親和性の増大によることをスキャッチャード解析により確認し、vzg-1がLPA非存在下でもG_<il>を活性化できる内在活性を有する事が示唆された。一方、アフリカツメガエル卵母細胞でLPAにより誘発される内向き電流を観察し、その細胞内情報伝達機構について検討を行った。その結果、LPAの繰り返し投与による内向き電流の誘発には急速な脱感作が見られるが、その脱感作がPKA阻害剤により抑制されること、LPAによる内向き電流の発生は百日咳毒素非感受性であり、PLCの活性化を必要とし、IP_3受容体チャネルを介してthapsigargin感受性Ca貯蔵部位から遊離したCa^<2+>によるCa^<2+>感受性Cl^-チャネルの活性化によるものであることを明らかにした。
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