研究課題/領域番号 |
10155230
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
山形 要人 (財)東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 副参事研究員 (20263262)
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研究分担者 |
杉浦 弘子 (財)東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 主事研究員 (40162870)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 脳 / 記憶 / プロスタグランジン / てんかん |
研究概要 |
シナプス活動による神経の可塑的変化は、発達期における神経回路網の形成だけでなく、記憶・学習などの脳の高次機能の素子過程と考えられている。神経の可塑性には伝達効率の変化だげでなく、シナプス結合の形態学的変化も伴い、特に記憶の長期保持(LTPの維持相)には後者の方が重要な役割を果たしている。本研究は、神経活動によるシナプス伝達効率の上昇、さらにシナプス結合の変化を引き起こす遺伝子(可塑性遺伝子)を単離し、遺伝子産物の生理機能を明らかにすることを目的とする。海馬のcDNAライブラリーから、subtraction-differential hybridization法を用いて、電撃痙攣刺激後、急速に誘導される新しい最初期遺伝子を見いだした。これらは電気ショックだけでなく、LTPを誘発する高頻度刺激やNMDA受容体遮断薬で発現量が調節されることから、可塑性遺伝子と考えられる。我々は、誘導型プロスタグランジン合成酵素Cox2(Cyclooxygenase-2)も可塑性遺伝子産物の一つであることを既に報告しているが、今年度は、そのノックアウトマウス(KO)を用いて、神経可塑性におけるcox-2の役割を解析した。in vivoで、内嗅皮質からの貫通線維を頻回刺激し、海馬歯状回分子層で後発射(after discharge)を記録することによって、痙攣重積状態(status epilepticus)への移行の早さをワイルドタイプ(WT)と比較した。その結果、予想に反し、、cox-2KOでは、WTに比較して、statusへの移行が遅れていることが明らかになった。さらに、cox-2特異的阻害剤であるnimesulideもstatusへの移行を遅らせた。以上の結果から、刺激によって誘導されたcox-2が、「てんかん」という脳の病的可塑性において、病態を悪化させ、痙攣重積状態に移行しやすくすると考えられた。
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