研究課題/領域番号 |
10156205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 典雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60014239)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ラット胎児 / 脊髄 / in vitro標本 / 自発性発射 / グリシン / Cl^-イオン / 興奮 / 頚髄と腰髄 |
研究概要 |
申請者はこれまでラット胎児の脊髄摘出本を用いて、子宮内における胎動と関連すると考えられる運動ニューロンの周期的な自発発射について解析してきた。本年度は、胎生期の脊髄前角ニューロンの穿孔パッチクランプ法を用いて自発発射の形成機構について精査した。細胞内イオン環境を変えない状態で、グリシンを灌流投与すると脱分極とそれに伴うバースト状の活動電位が記録され、この時期にグリシンが実際に興奮性伝達物質として作用していることを立証した。また、細胞内CI-イオン濃度を変化させることにより、高濃度の細胞内CI-イオンがグリシンの興奮性効果の基盤であることことを明らかにした。 さらに、自発発射形成の脊髄内神経回路の吻尾方向の発達過程についても調べた。当自発性バーストは頚髄前根ではE13.5-17.5日の標本で観察された。一方、腰髄ではその出現の日は1日遅く、E14.5-17.5日の標本で自発活動が見られた。また、E14.5-16.5日の標本では、頚髄と腰髄前根のバーストの発現は1:1に対応していた。バーストの発現は、E14.5では頚髄が腰髄より常に先行するが、E16.5日では逆に腰髄のバーストが先行することを明らかにした。さらに、胸髄における切断実験を行い、(1)バースト形成の神経回路網は、頚髄と腰髄にそれぞれ独立して存在すること、(2)発達の初期には、自発性活動の発現には頚髄の神経回路網が優位に働くが、発達に伴い次第に腰髄が優位になるという結果を得た。頚髄と腰髄間での信号伝達には、数秒の潜時が必要であるが、これにいかなる信号伝達系が関与しているかについて現在解析中である。
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