研究課題/領域番号 |
10156208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
城所 良明 群馬大学, 医学部, 教授 (00053083)
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研究分担者 |
斉藤 実 群馬大学, 医学部, 助手 (50261839)
吉原 基二郎 群馬大学, 医学部, 助手 (80222397)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 突然変異体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / ショウジョウバエ / 記憶・学習 / 微小シナプス電流 / cAMP / シナプス増強 / シナプス電流 |
研究概要 |
昆虫においては神経筋シナプスの伝達物質はグルタミン酸であり、シナプス後膜に局在する受容体チャネル(シナプス型)は、シナプス外膜に散在するもの(シナプス外型)とは性質が異る。シナプス後膜にあるシナプス型グルタミン酸受容体チャネルはパッチクランプ法によってその単一チャネル電流を直接記録することができないために、シナプス部にグルタミン酸をパフ投与してその結果おこる複合チャネル電流をホールセル・モードで記録した。100μMグルタミン酸投与では、ほとんど電流は見られないが、1mMでは数百pAの内向電流に重なって顕著な電流ノイズが見られた。このノイズを解析することによって、シナプス型チャネルの性質が解明されると思われる。ところがこの実験の過程において、予想外の現象を見つけたためにその解析をまず行うことにした。外液中にCa^<2+>存在しない条件下で100μMのグルタミン酸を投与すると、自発性シナプス電流の頻度が増大した。同様の変化は1mMでも起ったが頻度の増大はほぼ同じくらいであった。このことから自発性シナプス電流の頻度の増大はシナプス後膜にあるグルタミン酸受容体とは異る受容体によるものであろうと推察された。そこで代謝型グルタミン酸受容体のアゴニスト(S)-4C3HPGを試みた。100μMで自発性シナプス電流の頻度を大きく増大させた。また代謝型グルタミン酸受容体の特異的なアンタゴニストであるMCCG-Iはグルタミン酸および(S)-4C3HPGの作用をブロックした。 代謝型グルタミン酸受容体はショウジョウバエではクローンされた受容体のホモロジーと薬理学的な性質からGroupII、すなわちcAMPにカップルしている受容体と分類されている。そこでcAMPの自発性シナプス電流にたいする作用を調べた。まずadenylate cyclaseの賦活剤であるforskolinを外液中にCaのない条件で作用させたところ、シナプス電流の頻度は大きく上昇した。しかも膜透過型cAMPアナログであるCPT-cAMPを用いても同様の現象が見られた。したがって神経終末内のcAMP濃度が増大すると自発性シナプス電流の頻度は増大することがわかった。 次に代謝型グルタミン酸受容体を活性化した時にadenylate cyclaseが働いているかどうかを調べた。まずadenylate cyclaseに欠陥のある突然変異体rutabagaを用いて、(S)-4C3HPGによって受容体を活性化した時の反応を調べたところ、予想通り自発性シナプス電流の頻度はあまり上昇しなかった。したがって代謝型グルタミン酸受容体の作用はadenylate cyclaseを経由していることがわかった(Zhang et al.,1999)。
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