研究課題/領域番号 |
10156217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中島 邦夫 三重大学, 医学部, 教授 (40022800)
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研究分担者 |
藤川 隆彦 三重大学, 医学部, 助手 (60293776)
田中 実 三重大学, 医学部, 助教授 (90024736)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 母性行動 / プロラクチン / 保育行動 / 脳内受容体 / 神経回路 / プロラクチンノックアウトマウス / オキシトシンノックアウトマウス / in situハイブリダイゼーション |
研究概要 |
平成10年度までの研究により、母性行動を発揮している授乳中の雌ラットには、妊娠後期から授乳中にかけて脳内にプロラクチン受容体長型の遺伝子発現が強く誘導されていること、さらに若い未経産雌ラットあるいは雄ラットにおいても、他の雌から産まれた仔ラットと同居させると、仔のくわえ集めRetrieval & Grouping、抱え込みCrouching、なめるLicking等の母性行動が誘発され、その際にも脳内にプロラクチン受容体長型mRNAの発現が同様に誘導されており、母性行動発現と脳内プロラクチン受容体長型発現が常に並行することが判明して来た。他のプロゲステロン、エストロゲン、成長ホルモン等のホルモンも母性行動誘発に補助的な作用を示すが、これらの作用はすべてプロラクチン受容体長型の発現誘導を介していることも示された。一方、このように脳内にプロラクチン受容体を誘導発現する因子は血中プロラクチン濃度の上昇であることが証明され、またそのプロラクチン受容体長型は視床下部等にも認めされるが、顕著に誘導されるのは主として脈絡叢においてであることも示された。脈絡叢プロラクチン受容体は血中プロラクチンを脳脊髄液中へ転送する役割を担っていることが最近示されていることから、上記の当研究室の結果は、血中に上昇したプロラクチンが脈絡叢にプロラクチン受容体長型を発現させ、血中から脳脊髄液中、さらには脳内へのプロラクチンの移行を促進し、視床下部その他にプロラクチンが作用して母性行動を誘発していることを示唆している。現在、当研究室では脳内でのプロラクチンの作用部位を特定するべく、受容体mRNAのin situハイブリダイゼーション、受容体タンパク質の免疫組織化学的解析及び標識プロラクチンオートラジオグラフィー等を行っている。さらに、米国シンシナチ大学との共同研究でプロラクチン・ノックアウトマウスの、東北大学との共同研究でオキシトシン/プロラクチン二重ノックアウトマウスの作出を行なうことができた。現在、これらの系についても行動に関連した神経回路の解析を行っている。
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