研究課題/領域番号 |
10156219
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 神経分化 / ニューロン / Notch / Hes / bHLH / 標的遺伝子破壊 / ノックアウトマウス / 側方抑制 |
研究概要 |
哺乳動物の神経発生過程では、比較的均一な神経前駆細胞から極めて多様性に富んだニューロンが分化する。この多様性に富んだ神経細胞が分化していく過程では、細胞間相互作用による側方抑制が重要であることが示されている。すなわち、分化が始まった細胞は周囲の細胞が同じ種類の細胞に分化するのを抑制する現象である。この側方抑制には膜蛋白Notchの関与が知られているが、Notchが活性化されてから分化抑制に至る細胞内分子機構についてはよくわかっていない。最近、このNotch経路でbHLH型転写因子Hesが重要な役割を担うことが示唆されている。そこで、神経細胞の多様性を生み出す分子機構を明らかにする目的で、Notch経路におけるHesの役割について解析を行った。まず、活性型Notchによって内在性のHes1とHes5の発現が増加したので、両遺伝子がNotchの機能に必要かどうかを調べるために、Hes1あるいはHes5が欠損したマウス、およびHes1とHes5が同時に欠損したマウスを作製した。これらのマウスから調製した細胞に対して、活性型Notchを発現するレトロウイルスを感染させて分化制御を調べた。その結果、Hes1あるいはHes5が欠損した場合には野生型のときと同様、Notchによる分化抑制がみられたのに対して、Hes1とHes5が同時に欠損したときにはNotchによる分化抑制が解除された。すなわち、(1)口es1かHes5のどちらかがあればNotchは機能できること、そして(2)両遺伝子はNotchの下流で必須のエフェクターとして機能することが明らかとなった。HesはbHLH型神経分化転写因子Mash1の機能を阻害して分化を抑制することが知られている。これらの結果から、哺乳動物の神経分化は「Notch→Hes1/Hes5┫Mash1→ニューロンへの分化」(→促進;┫抑制)という経路で制御されることが示された。
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