研究課題/領域番号 |
10156221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大森 治紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (30126015)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | MNTB / Calyx / シナプス / Ca^<2+>チャネル / Cz^<2+>バッファー |
研究概要 |
本研究は個体の生後発達の初期過程においてシナプス伝達が同期性を獲得するメカニズムを明らかにする目的で行ったものである。今回、シナプス伝達が生後発達に伴い正確さを増す過程で、MNTB主細胞体への杯様シナプスではシナプス前終末のCa^<2+>緩衝系が強化され、Ca^<2+>チャネルの密度の増大に伴いおそらくCa^<2+>チャネルとシナプス小胞間の実効的な距離が短縮する、すなわち多くのシナプス小胞がCa^<2+>チャネル周辺に集積するメカニズムが働くことを次のような実験から明らかにした(論文準備中)。(1)シナプス前終末への活動電位当たりのCa^<2+>流入量は生後発達過程で増大した(fura-2による測光実験)。(2)EGTA/AMで処理した幼若シナプスでは非同期性のEPSCの発生が認められながった。(3)成熟シナプスでは[Ca^<2+>]。を下げても非同期性のEPSCの出現は観察されなかった。しかしながら、(4)成熟シナプスでもシナプス前終末へのCa^<2+>流入を細胞外に与えたCa^<2+>チャネルブロッカーであるCd^<2+>で減弱すると非同期性のEPSCが発生した。(5)、(4)で発生した非同期性のEPSCは細胞外液のNa^+をLi^+に替えることで発生頻度が増大した。以上の結果は、シナプスが成熟するに従いシナプス前終末へのCa^<2+>流入量が増大し、かつシナプス前終末でのCa^<2+>緩衝系が強まることで非同期性EPSCが消失することを明らかにしたものである。さらに、シナプス小胞とCa^<2+>チャネル間の機能的な距離が個体発生過程で短縮することを明らかにした。Ca^<2+>チャネルおよびシナプス小胞相互の分布関係を明らかにする形態学的な今後の検討が重要であると考える。
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