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学習を担う抑制性長期増強の生理学的・行動学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10156224
研究種目

特定領域研究(A)

配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

小田 洋一  大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00144444)

研究期間 (年度) 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワード記憶 / 学習 / 長期増強 / LTP / 抑制性シナプス / マウスナー細胞 / 逃避運動 / キンギョ
研究概要

シナプス伝達の長期増強(LTP)は,1973年に海馬で発見されて以来,記憶学習の基礎メカニズムと考えられてきた.最近のノックアウトマウスを用いた研究は,この仮説を強く示唆する.しかし,一般に記憶学習に関与する神経回路の複雑さから,LTPと記憶学習の関係を神経回路をふまえて説明することは難しい.本研究代表者らは,神経回路が同定されている上に,単一の中枢ニューロンの単一の活動電位によってトリガーされる硬骨魚の逃避反射を実験標本に用いて,学習におけるLTPの役割を明らかにしようとした.
硬骨魚の最大の網様体脊髄路ニューロンであり延髄の左右に一対存在するM-細胞は,音刺激による逃避運動(C-start)をトリガーする.C-startは基本的に,内耳有毛細胞・M-細胞・脊髄運動ニューロンの3ニューロン回路により発現し,音刺激からわずか10msecで起こる.我々は逃避運動の閾値以下の音刺激を繰り返すと40分以上持続する脱感作が生じることを見いだした.
脱感作を誘導する音刺激を与えると,聴神経が両側のM-細胞に誘発する抑制性シナプスコンダクタンスが,1時間以上増大した.一方,興奮性のcoupling potentialやM-細胞の反回性抑制には変化が見られない故,聴覚入力からM-細胞への抑制回路が選択的にLTPを発現したことが結論された.弱い音刺激を繰り返し与えると聴神経からM-細胞への抑制性応答が選択的に長期増強し,その結果,興奮性聴覚入力に対するM-細胞の活動電位発生率が下がり,逃避運動が長期間抑圧されると考えられる.このように,LTPと学習とのリンクを同定された神経細胞の上で初めて明らかにした.本研究成果は,Nature誌に発表した.

報告書

(1件)
  • 1998 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Oda,Y.: "Inhibitory long-term potentiation underlies anditory conditioning of gold fish escape behaviour" Nature. 394. 182-185 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] Oda,Y.: "Long-term potentiation as a neuronal basis for learning and memory" Rev.Neurosi.(in press). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 小田 洋一: "LTP" Clinical Neuroscience. 17(7)(印刷中). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 小田 洋一: "LTP解析法" 脳の科学. 21(7)(印刷中). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 小田 洋一: "学習を担うシナプス伝達の長期増強" 蛋白質核酸酵素. (印刷中). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 小田 洋一: "逃避運動を担う抑制性長期増強" 豊田研究報告. 51. 83-90 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書

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公開日: 1998-04-01   更新日: 2016-04-21  

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