研究課題/領域番号 |
10157201
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 酸性プロテアーゼA / NMR / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
クロコウジカビAspergillus niger var.macrosporusが分泌する酸性プロテアーゼAは基質特異性、阻害剤に対する反応性、一次構造、分子量等の性状が、従来のペプシン型酵素とは著しく異なる新規の酸性プロテアーゼである。本研究では、プロテアーゼAの立体構造、変性中間状態ならびに中性変性過程の解析を行ない、プロテアーゼAの折れたたみ機構を明らかにすることを目指してX線結晶構造解析とX線小角散乱測定を行った。 本酵素が活性を示すpH1.5〜3で得られた結晶についてのX線結晶構造解析の結果、この分子はクロワッサン型をしており、αヘリックスを含まず2枚の湾曲したβシートからなることが分かった。軽鎖はβシートを構成するβストランドとして両方のβシートに含まれている。本蛋白質のNMRスペクトルの指紋領域も、βシートに富む蛋白質に特徴を示した。 X線小角散乱測定のI(O)(zero angle intensity)はpH6.5以上において約60%近くに減少し、このpHで既に重鎖と軽鎖が解離していることを示している。一方慣性半径R_gはpH6.3以下では20Åで一定であり、pH8.3の30ÅまでpHの上昇とともに徐々に増加した。散乱面積の積分強度は、pH-profileよりpH6.5においてはまだcompact性が残っていた。Kratkyプロットの結果も考慮すると、pH6.5において重鎖と軽鎖が解離しているが、重鎖はまだcompact性を残しており、さらにpHが上昇するにつれて徐々に広がって行くと考えられる。一方、ストップトフロー法によりpH4.5からpH8.3へpHジャンプを行い、X線溶液散乱測定により解析したところ、積分面積強度において非常に速い変化(k=0.55s^<-1>)が観測された。I開始、終了時点におけるR_gの値はstatic測定のものと一致した。
|