研究課題/領域番号 |
10157221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
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研究分担者 |
山乙 教之 北里大学, 薬学部, 助手 (60230322)
合田 浩明 北里大学, 薬学部, 講師 (60276160)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | カルモデュリン / TFP / W-7 / 阻害剤 / 複合体 / 分子動力学法 |
研究概要 |
得られた水溶液中の平衡構造において、C-ドメインにのみ、TFPでは二分子、W-7では一分子が結合していた。これは、初期構造の相互作用エネルギーの解析から、TFP、W-7共に、阻害剤との親和性が、N-ドメインよりC-ドメインの方が強いためである事が明らかとなった。この結合親和性の差は、TFPにおいては、Arg74、W-7においては、Lys75との静電反発のためである事が明らかとなった。 得られた水溶液中の平衡構造の相互作用エネルギーの解析から、TFPについては、Glu11.Glu14、Glu84、Glu87、Glu123の静電相互作用とPhe89、Phe92、Met124、ile125、Phe141、Met144との疎水性相互作用がc-ドメインとの結合に重要である事がわかった。また、W-7については、Asp78,Asp80、Glu82、Glu140の静電相互作用とMet124、Val136との疎水性相互作用がC-ドメインとの結合に重要である事がわかった。 カルモデュリン(CaM)のN-ドメインとC-ドメインのアミノ酸配列相同性は71%であり、立体構造もほぼ同一である。そのため、従来、N-ドメインとC-ドメインとの結合親和性の差を考慮せずに、阻害剤がデザインされてきた。しかしながら、本研究の結果は、両ドメインにおける結合親和性の違いを考慮すれば、より強力な阻害剤をデザインできる事を示唆している。また、N-ドメインとC-ドメインとを別々に選択して阻害する選択的阻害剤をデザインできる可能性も示唆している。 TFPやW-7との結合に関与するCaMのアミノ酸残基は、両阻害剤である程度一致しているものの微妙に異なっている。この事は、CaMの結合様式は、通常の酵素とは異なり、かなり柔軟なものである事を意味している。これが、CaMの数多くの標的蛋白質に結合できる多機能性の本質であると考えられる。
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