研究課題/領域番号 |
10157225
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
黒澤 良和 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (10109259)
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研究分担者 |
伊庭 善孝 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 研究員 (90298547)
赤堀 泰 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (80221711)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 抗原=抗体反応 / error-prone PCR / CDR / モデル構築 / エントロピー / チトクロームC / ステロイド |
研究概要 |
本研究は、抗体V領域の中に導入されるアミノ酸配列の変異が抗体の抗原特異性及び結合力にどのような影響を及ぼすかを体系的に解析している。in vivoでは結合力の強い抗体は通常二段階で作られる。V(D)JというDNA再編成がつくり出すのが抗体のnaive repertoireであり、抗原侵入後、その抗原と結合する抗体産生細胞の抗体V遺伝子領域に体細胞突然変異が高頻度に導入され抗体が成熟する。同様のことをin vitroで再現するためにステロイドを抗原とするモデル実験を行った。11-deoxycortisol(11-DOC)に結合するSCET抗体をファージ膜上に発現させた後、最初VHのCDR中14ケ所に部位特異的変異を導入したライブラリーを作製し、cortisol(CS)を抗原としてスクリーニングした。その結果11-DOCのみならずCSにも強い結合力を示す抗体が得られた。この変異抗体のV_H遺伝子に更にerror-prone PCRによりランダムな変異を導入したライブラリーを作製し、11-DOC共存下にCSに結合する抗体を得た。その結果CSに結合し11-DOCに弱い結合性を示すクローンを数種得た。得られた抗体のコンピューターを用いた立体構造予測は、上記結果を説明できるものであった。抗チトクロームC抗体E8はV_Hの94位のグリシンをアルギニンに変換するだけで抗原結合力を失う。更なる変異をerror-prone PCRで導入してチトクロームC結合能が回復したクローンを単離して解析した。その結果V_H CDRIIIの立体構造に94位と101位のアミノ酸の組み合わせ及び27位、29位、94位の組み合わせが大きく影響することが示された。コンピューターによる立体構造予測がこの結果に理論的根拠を与えた。とりわけ101位のアスパラギン酸をアスパラギンに変化させると数10倍の結合力の増加が見られ、この結合力がいかなる物理力から誕生するか今後の解析が重要である。
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