研究概要 |
Rme1pは,IMElの転写を抑制することによって,出芽酵母の減数分裂開始を制御している.最近我々は,Rme1pによる転写抑制機構を「activator exclusion at a distance」と名付け,Rme1pが転写抑制クロマチンドメインを形成するというモデルを提唱した.このドメインの分子間相互作用を明らかにする目的で,Rme1pの機能ドメインを解析した.300アミノ酸残基から成るRme1pにおいて,DNA結合ドメインは171-300残基にマップされ,DNA結合には3つのZn-fingersだけでは十分ではなく,C-末端285-300残基が必須であることが実証された.さらに,点変異蛋白質の解析から,DNA結合に重要な残基として,287Arg,290Lysと288Phe,292Leu,295He,296Leuが同定され,この領域が両親媒性α-へリックスを形成して,DNA結合ドメインを安定化することが示唆された.一方,Rme1pと相互作用する因子の遺伝学的スクリーニングにおいて,クロマチンリモデリング関連因子が候補として得られ,Rme1pとクロマチンとの繋がりを調べている. 一方,昨年度までに,高次DNA構造がゲノム上でのヌクレオソーム編成の重要な因子の一つであることを示した.例えば,比較的長い(dA)_n・(dT)_n,(dG)_n・(dC)_nとZ-DNA配列である(CG)_nは,in vivoでヌクレオソームを排除する.出芽酵母ゲノムにおいて,n≧10の(dA)_n配列は2495個存在し,そのうち1760個はORFの500bp上流に局在している.この値は全ORFの1/4にも相当する.n≧20の配列はゲノム中に130個し,ORFの500bp上流では95個存在している.この結果から,ヌクレオソーム排除配列が,ヌクレオソームフリーの領域から成るプリセットプロモーターのcis-elementとして働くことを提唱した.
|