研究課題/領域番号 |
10160207
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
千葉 和義 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (70222130)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | ヒトデ / 卵成熟 / リン酸化 / Cell free / PI3 / ワートマニン / セリンキナーゼ |
研究概要 |
【目的】ヒトデ卵減数分裂再開機構を解明するために、これまでに2つの実験系を確立してきた。すなわち、(1)in vitroにおける卵核胞崩壊を再現するcell free系と、(2)in vivoにおけるプロテアソーム活性の定量法、である。これらの手法を用い、in vitro、in vivo両面から、減数分裂再開の初期過程を明らかにすることを、本研究の目的とする。【経過】第一減数分裂の中期において、EGTA、グリシン、Hepesを基本組成としたpH7.0のバッファを用いたcell free系を作成したところ、第一減数分裂の終期を再現するサイクリンBの分解が観察できた。しかし分解に要する時間がin vivoに比べ長く、分解後サイクリンは再合成されなかった。一方、蛍光基質Suc-Phe-Leu-Arg-ACMSを用いて、in vivoにおけるプロテアソーム活性を求めたところ、第一減数分裂中期での受精時に活性化されることが明らかになった。【成果】減数分裂再開から徐々にプロテアソームは活性化するので、受精時における活性化をより顕著に観測できる系としてタコノマクラ卵も併用し、実験を行った。受精によって、細胞内のpHは7.2から7.5に上昇する。そこでpH7.5のバッファをマイクロインジェクションして細胞内pHの上昇を引き起こしたところ、受精なしでプロテアソームの活性は上昇した。このときEGTAを同時にマイクロインジェクションして、細胞内のカルシウム上昇を抑えても、プロテアソームの活性化は起こった。また、ヒトデ卵においても、受精後のプロテアソームの活性上昇はカルシウムに依存しないことが明らかになった。したがって、受精時には、細胞内pHの上昇が起こり、プロテアソーム活性が上昇すると考えられる。大変興味深いことに、cell free系においても、使用するバッファのpHを上昇させると、サイクリン分解が促進されることが明らかになった。このことは、プロテアソーム活性が細胞内pHに依存して制御されている可能性を示唆する。
|