研究課題/領域番号 |
10161211
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
上田 均 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (60201349)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 脱皮 / 変態 / 標的遺伝子 / 遺伝子発現制御 / エクダイソン / コアクチベーター |
研究概要 |
転写因子FTZ-F1の変異株の変態期における形態学的解析をおこなったところ、前蛹期で発生が停止していることが明らかになった。また、熱ショックでFTZ-F1を発現できる遺伝子hsFTZ-F1を導入し、前蛹期の様々な時期に熱ショックを与えると、前蛹期中期から後期にかけての内在性FTZ-F1が発現する時期にFTZ-F1を発現させた場合のみ効率の良い発生異常の回復が観察された。これらの結果から、FTZ-F1は、前蛹期中期から後期において時期特異的に発現することが重要な転写因子であると推定した。さらに、各組織でのFTZ-F1の機能を推定するため、体の内部を観察したところ、唾腺のヒストリシス、中枢神経系の発達、成虫原基の発達、消化器官系の発達など様々な器官で異常が観察され、変態期に多くの器官で様々な作用をする重要な因子であることが判明した。 FTZ-F1遺伝子の発現制御機構を調べるため、転写開始点付近の様々なDNA断片、あるいは、この領域内に結合する因子の結合部位に変異を導入したDNA断片とLacZ融合遺伝子を有するtransgenicfly系統を作成し、LacZ遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、FTZ-F1遺伝子転写開始点上流約0.3kbに存在する新規DNA結合因子I-4の結合部位に変異を導入すると、発現量が低下することがら、I-4は、転写活性化因子であると推定された。この結果、以前に同定した別のふたつの転写活性化領域とあわせ、少なくとも3つの領域が転写活性化にがかわることが明らかになった。また、発現量を比較した結果、これらの3つの領域は、そのいずれかを欠くと発現が大きく低下することから、FTZ-F1遺伝子発現に、お互いに相乗的に作用する領域であると考えられた。以上の結果から、FTZ-F1遺伝子は、予想以上に複雑な機構で発現制御が行われると考えられた。
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