研究概要 |
受精での精子アクロソームタンパク質の選択的分解機構と生理機能獲得・欠失を明らかにすることを目的として研究を行い,以下の研究成果が得られた。 1) アクロシン欠損マウス精子では媒精後初期の段階で透明帯通過に著しい遅れを生じているが,その遅延はアクロソーム反応時でのアクロソーム内容物の放出の遅れに起因していることが明らかとなった。アクロシンは,そのタンパク質分解活性によってアクロソームからの各種タンパク質の放出を促進していると結論した。 2) パラアミノベンザミジン存在下では,アクロシン欠損マウスでも精子の卵透明帯通過がほぼ完全に阻害されることから,アクロシン以外のトリプシン様プロテアーゼが透明帯通過に機能していることも明確にした。その候補として,42と41キロダルトンのふたつの新規精子プロテアーゼを同定した。 3) 42と41キロダルトンプロテアーゼは,トリプシン様のプロテアーゼによって活性化されることが明らかになった。これらのプロテアーゼの精製を現在行っている。 4) すでに得られている4個のセリンプロテアーゼ(TESPl〜4)が,精子アクロソームに局在しアクロソーム反応によって放出されることを明確にした。おのおのについて,ノックアウトマウスを作製中である。
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