研究概要 |
蛋白のポリユビキチン化は、プロテアソームによる蛋白分解の標識となることが知られているが、分解という不可逆反応が無秩序に起こらないように、主としてユビキチン化の段階で厳密な制御機構が存在すると考えられている。本研究では、出芽酵母Rsp5ユビキチンライゲースとBul1蛋白、及び、Tom1ユビキチンライゲースを中心に、分子遺伝学的手法を駆使して、ストレス条件下での細胞増殖におけるユビキチンライゲースの作用機作と制御機構を研究し、ユビキチン化の役割を解明することを目的とした。 Rsp5ユビキチンライゲースは増殖に必須な蛋白で、N末領域に存在するWW-ドメインを介してBul1のPYモチーフと結合し、複合体を形成している。BUL1のホモログであるBUL2を単離し、2重破壊株を作成したところ、常温では増殖できるが、1M NaCl,37℃,グリセロール培地など、所謂、ストレス条件下での増殖が不能となった。Bul1のPYモチーフに変異を導入すると、2-ハイブリド法においても免疫沈降実験においても、Rsp5に結合できなくなるばかりでなく、上記のストレス増殖不能の表現型を相補できなかった。従って、Bul1蛋白はRsp5を介してストレス下での増殖に必須であることが示唆された。
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