研究課題/領域番号 |
10164202
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 教授 (70091486)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | サル / 視線運動 / 滑動性眼球運動 / 前庭動眼反射 / 視標速度 / 前頭眼野 / 感覚運動信号変換 |
研究概要 |
滑動性眼球運動と前庭動眼反射の干渉系で視標追跡運動を行うときには、視標の網膜上での動きと、それを追跡する眼球運動と前庭情報から視標の空間における速度が計算され、それに合わせて空間内で視線(空間での眼球)運動が行われる。本研究では前頭眼等領域がこのような干渉系における網膜情報から運動情報への変換にどのように関わるかを訓練した日本サル2頭を用いて調べた。前頭眼野領域から滑動性眼球運動に応答したニューロンを107個記録した。この課題ではニューロンは追跡する眼球運動速度に比例して応答した。回転台と同時に視標を同方向へ同振幅で追跡させることにより視線運動を行わせると、これら二二ーロンの大多数(n=86,80%)は、視線速度に対応して応答した。滑動性眼球運動時の応答と視線運動時の応答の最適方向は個々のニューロンでよく一致した。それらの運動速度に対するニューロンの応答の感度特性は同様で、平均で0.5 spikes/s/deg/sであった。さらにこれらのニューロンで、視標を静止させてサルに固視させ、もうひとつのレーザースポットを正弦波状に動かすと、調べたニューロンの半数で(20/39)、滑動性眼球運動に応答した方向へのレーザースポットの網膜状の速度に比例して応答し、その速度に対するニューロンの応答の感度特性は平均で0.2 spikes/s/deg/sであった。以上の結果から、前頭眼舒領域の滑動性眼球運動ニューロンは、眼窩内の運動情報のみを持つのではなく、視線(眼球速度十頭部速度)信号を持ち、さらにそれらニューロンの半数は、視線信号+視標の網膜速度情報を持つことが明らかになった。従って前頭眼野の滑動性眼球運動ニューロンは視線信号と視標の速度情報から、空間での実際の視標の速度を計算できることが示唆される。
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