研究課題/領域番号 |
10164213
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 視覚系 / 同期的発火 / 周期的発火 / 網膜 / 神経節細胞 / 時間的コーディング / 抑制性伝達物質 / ガンマアミノ酪酸 |
研究概要 |
視覚系における統合問題に関連して、神経細胞群の同期的周期発火が注目されている。しかし、このような発火パターンを生成させる神経機構は未だ明らかではない。本研究では、カエルの眼球から剥離した網膜に平面型マルチ電極を適用して、多数の神経節細胞(光強度が弱くなると持続的に発火するディミング検出器)からスパイク発火を同時記録し、逆相関法により受容野の位置を特定すると共に、相関解析法を適用してスパイク発火列の時間的性質を検討した。その結果、網膜を時間変調した光で全面照射した場合、受容野が数mm離れたディミング検出器対でも約30Hzの周期的発火を伴う同期的発火(位相のあった周期的発火)が観察された。GABA受容体の阻害剤を投与すると、同期的発火も周期的発火も完全に消失した。一方、受容野が重なり合うディミング検出器対では、約30Hzの周期的発火を伴う強い同期的発火が観察された。GABA受容体の阻害剤によって周期的発火は完全に消失したが、弱い同期的発火は残存した。周期的発火を伴わない弱い同期的発火は、近接したディミング検出器対の受容野を局所刺激することによって発生させることができた。位相のあった周期的発火は、受容野よりも大きな領域を光刺激した時にのみ生じた。以上の結果から、大きな領域の刺激により位相のあった周期発火を生成する広域的な神経回路網と、小さな領域の刺激により同期的発火を生成する局所的な神経回路網とが存在すること、また、周期的発火の生成にはGABA受容体の活性化が関与していることが強く示唆された。局所的な同期的発火を引き起こしたり、発火の位相を合わせる機構としては、ディミング検出器に対する興奮性の共通入力が考えられる。
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