研究課題/領域番号 |
10164232
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 文隆 大阪大学, 医学部, 助教授 (00202044)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 大脳皮質視覚野 / ACh / 入力依存性 / 光学的計測 / 興奮伝播 / ムスカリニック受容体 / ニコチニック受容体 / シナプス反応 |
研究概要 |
研究代表者らは、以前に皮質細胞間シナプス反応はAChによりムスカリニック受容体を介して抑制されることを報告した。一方、皮質視覚野においては外側膝状体繊維終末にニコチニック受容体が局在する事が報告されている。ニコチニック受容体活性化はシナプス反応に対して促通作用を持つと推定されているが詳細な実験は未だなされていない。以上のことから、AChは皮質内において皮質内由来の入力を抑制し、外側膝状体由来の入力を促通している可能性がある。本実験はこの点を検証する目的で行われた。スライス標本を用いて白質刺激による興奮伝播がAChによりどのように制御されるかを光学的計測法により観察した。その結果、速く伝播する成分に注目すると白質刺激による興奮伝播は全層において抑制されたが、その程度は一様ではなく深層、浅層では全シナプス反応の40-50%を抑制したが、中間層では20-30%しか抑制されなかった。しかしながら遅く伝播する成分については抑制に層間差は認められなかった。さらに、AChによる抑制は、グルタメイト投与による興奮には無効であったことから、シナプス前性と推定される。また、2/3層刺激に対しては抑制の程度に関して層間差は認められなかった。抑制はアトロピン存在下では認められなかったことからムスカリニック受容体を介するものと考えられる。この結果は、AChがムスカリニック受容体を介して、皮質細胞への入力のうち皮質内由来の入力を抑制していること、さ同時に外側膝状体由来の入力に対しては抑制が弱いこと、そのため、結果的に上行性由来の入力を強調する効果を持つことを示唆するものと考えられる。
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