研究概要 |
以下に,今年度得られた新たな知見等の成果を示す. (1) Dewar型異性体を特異的に認識するDEM-1抗体の可変領域部遺伝子のクローニングを行い,その塩基配列およびアミノ酸配列を決定した.重鎮(H鎖)中にシステイン残基の存在が確認された.(2) Dewar型異性体特異的1本鎖抗体(DEM1scFv抗体)遺伝子の構築(VH-linker-VL型およびVL-linker-VH型)および大腸菌システムによる大量調製を行った.天然型では活性を有するscFv抗体蛋白質を得ることはできなかったが,システインをセリンに置換した変異scFv抗体では活性を有していた.(3)バイオセンサー(BIAcore)を用いて,Dewar型異性体を含む合成オリゴヌクレオチドとの相互作用を速度論的に解析したところ,特異的な結合が観察され,結合速度定数kass,解離速度定数kdissならびに解離定数Kdが得られた.DEM1scFv(C47S)抗体の抗原アナログd4merに対するKd値は,2.5±0.2x10^<-7>(VH-linker-VL型),2.2±0.3x10^<-7>(VL-linker-VH型),抗原アナログd6merに対するKd値は,2,4±0.2x10^<-7>(VH-linker-VL型),2.7±0.5x10^<-7>(VL-linker-VH型)となった.DEM-1 Fabの抗原アナログd4merに対するKd値は,1.1±0.1x10^<-7>,抗原アナログd6merに対するKd値は,1.0±0.1x10^<-7>となった.以上のことから,scFv抗体はFab抗体同様の抗原結合特性を有していることが分かった.
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