研究課題/領域番号 |
10165225
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
横田 淳 国立がんセンター, 研究所・生物学部, 部長 (10191503)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 8-ヒドロキシグアニン / 遺伝子多型 / 自然突然変異 / DNA修復 / がん化 / hOGG1遺伝子 |
研究概要 |
活性酸素によって生じる8-ヒドロキシグアニン(oh8Gua)はDNA中でアデニンとも塩基対を形成するため強い突然変異原性を有する。DNA中のoh8Guaを除去修復する酵素遺伝子として、これまでに大腸菌ではmutM遺伝子が、酵母ではOGGl遺伝子が単離されていた。そこで、我々は酵母OGGlのヒト相同遺伝子(hOGGl遺伝子)を単離し、hOGGl蛋白質がoh8Gua除去修復能を有することを明らかにしてきた。また、我々はESTのデータベースを利用してマウスの相同遺伝子(mOggl遺伝子)も単離し、mOggl蛋白質もhOGGl蛋白質と同様なoh8Gua除去修復能を有することを示した。hOGGl遺伝子については、さらにがん化への関与について検討した。このため、hOGGl遺伝子のゲノム構造解析を行い、エキソン・イントロン構造を同定した。これを利用して、hOGGl遺伝子のがん化への関与を特に肺がん・胃がん患者の検体を用いて検討した。変異に関しては肺がん・胃がんとも腫瘍細胞には認められなかったが、各細胞株NCI-H526およびMKN1でミスセンス変異が認められた。肺がんでは高頻度のLOHも検出された。hOGGl遺伝子多型については少なくとも5種類が検出され、そのうちの一つはアミノ酸変化(Ser326/Cys326)を伴うものであった。これらの遺伝子産物の修復能を比較すると、hOGGl-Cys326やNCI-H526で検出された変異型では-Ser326と比べ自然突然変異抑制能が低かった。少検体数での健常人と比較したアレル比は有為な差には至らなかったものの、-Ser326アレルの頻度の低下ががん患者群に認められた。以上よりhOGGl遺伝子のがん細胞における変異の頻度は低いが、一部のがん化への関与が示唆された。また、多型の発がんへの関与については更なる検討が必要であると考えられた。
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