研究課題/領域番号 |
10166223
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
金子 明 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60169563)
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研究分担者 |
四方 啓裕 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50291696)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マラリア / 熱帯熱マラリア / 三日熱マラリア / CYP2C19 / dihydrofolate reductase / サイクログアニール / プログアニール / バヌアツ |
研究概要 |
マラリア化学療法の治療効果を規定する因子としては原虫の薬剤耐性のみならず、患者の薬物代謝が重要である。肝cytochrome P450のisozymeであるCYP2Cl9は、多くの薬剤代謝に関与し、その発現には多様性がある。poor metabolizer(PM)の割合は、白人およびアフリカ人では3-6%、アジア人では13-23%と報告されていた。マラリア流行地において、CYP2C19はマラリア化学療法剤proguanil(PG)代謝において重要性を持つ。PGは"prodrug"であり、代謝産物cycloguanil(CG)による原虫dihydrofolate reductase(DHFR)阻止がPG治療の抗マラリア作用の本体とされ、「PMのマラリア患者においてはPGが効かない。」という仮説が提唱されていた。我々は、南太平洋のマラリア流行地であるバヌアツにおいて、CYP2Cl9に関するPM遺伝子型の頻度が、71%と極めて高いことを既に報告した(Kaneko et al.1997 Lancet)。 今年度はバヌアツのPG治療後マラリア患者から得られたサンプルについて、治療効果と患者PG代謝および原虫CG耐性の関係を解析した。PG300mg/day、3日間経口投与で治療されたP.falcipanrum(Pf)ないしP.vivax(Pv)患者95名中、33名がCYP2Cl9遺伝子型に関してextensive metabolizer(EM),62名がPMであった。血中PG濃度は両者で同様であったが、有為なCG濃度はEMにおいてのみ検出された。EMは更に野生型遺伝子の数でヘテロとホモの2群に分けられたが、ヘテロEMのPG代謝の程度はホモEMとPMの中間であり、“gene dose effect"の存在が示唆された。PG治療はPfの71%およびPvの90%に有効であったが、予想に反しこの効果はPMとEMで同様であった。消化器症状を主とした軽度の副作用が44%の患者に観られ、この頻度は血中PG濃度に有意に相関した。また見出されたPf-dhfn耐性遺伝子型はすべて中等度の耐性を示すものであった。これらの結果は従来のPGに関する仮説を否定するものであり、PGに代謝産物であるCGの原虫DHFR阻止以外の抗マラリア作用があることを示唆している。最近ヒトのDHFR遺伝子を導入したPf培養原虫によるin vitroの研究で、PG作用の標的はミトコンドリアの一部かもしれないと報告されている。現在、新しい治療薬としてatovaquoneとPGの合剤が注目されており、我々の結果は今後のマラリア対策に重要な意義があると考えられる。
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