研究課題/領域番号 |
10167204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40202387)
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研究分担者 |
山本 雅 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | B細胞抗原受容体 / チロシンキナーゼ / Fcγ受容体 / Lyn / Fyn / Dok |
研究概要 |
B細胞抗原受容体を介する情報伝達にはチロシンキナーゼとその基質群が必須の役割を担っている。本年度はSrc型チロシンキナーゼLyn・Fynとその基質Dokの機能を中心に解析し以下の成果を得た。 l) Fyn、LynはIgM型のB細胞抗原受容体(BCR)と複合体を形成し機能しており、少なくともLynはその情報伝達に必須の分子である。そこで本年度はIgD型のBCRを介する情報伝達におけるLyn、Fynの機能を解析した(高津・相沢らとの共同研究)。その結果、抗IgD刺激に対しては、LynもしくはFyn欠損B細胞は各々正常細胞の70%、50%程度の増殖を示した。また、抗IgM刺激の場合はLyn欠損により増殖反応が増強されるが、Fyn欠損B細胞では50%程度低下していた。このことから、IgD型のBCRを介した情報伝達ではFyn、Lynともに増殖を支持する機能を担い、IgM型のそれではFynは正の、Lynは負の機能を担っていることが予想された。 2) 代表者は多種多様なチロシンキナーゼに共通する基質として注目されていたドッキング蛋白質p62DokのcDNAを単離し既にそのノックアウトマウスを樹立している(バルチモアとの共同研究)。 in situ hybridization法により血球系細胞と軟骨細胞でのdokの高い発現が認められ、少なくともリンパ球ではDok蛋白質の高い発現も確認された。そこでBCR刺激後のDokのチロシンリン酸化について検討したところ、Dokは抗IgM抗体による刺激後二分以内に極めて強くリン酸化された。また、BCR/FcγRIIBを同時に刺激すると、Dokのチロシンリン酸化がさらに亢進した。BCR/FcγRIIB刺激ではDok欠損によりB細胞の増殖能が回復したが、BCR単独刺激ではDokの有無によらず同程度の増殖を示した(成内らとの共同研究)。このことから、DokはFcγRIIBを介する増殖抑制の情報伝達に必須の分子と考えられた。
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