研究概要 |
本研究は、HIV-1,C型肝炎ウイルスなどの抗原を変異させるウイルスに対する細胞傷害性T細胞(CTL)の認識機構を分子レベルで明らかにする事を目的とした。 1. HIV-1CTLエビトープの同定 我々リバース.イムノジェネティクス法を用いて、すでにHLA-B^*3501およびA^*2402が提示する多数のCTLエピトープを同定しているが、今回はHIV-1感染者のAIDS発症を遅らせる因子として知られているHLA-B^*5101が提示するCTLエピトープの同定をおこなったその結果7種類のCTLエピトープを同定できた。 2. 変異エピトープに対するCTLの認識 7種類のHLA-A^*2402拘束性のエピトープに関して、38種類の変異エピトープに関して解析したところ、19種類の変異エピトープに対しては著しくCTLクローンの認識が低下する事が明らかになった。この19種類の変異エピトープのほとんどがHLA-A^*2402との結合は低下していないので、TCRによる認識の低下と考えられた。 3. HLA-B^*5101結晶の作製 2つのHIV-1CTLエピトープペプチド(LPPVVAKEI,TAFTIPSI)をそれぞれ結合させたHLA-B^*5101の結晶を試み、その結晶化に成功した。現在X線解析中であり、HLA-B^*5101結合エピトープの三次構造が詳細に明らかにされる事が期待される。今後さらに特異的TCRとの結晶解析も予定している。
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