研究概要 |
本研究では、NK細胞に異常をきたすマウスC57BL/6nkd/nkd(以下nkdマウス)由来のNK細胞を用いて新規NKレセプターの検索を行った。その結果NK細胞の細胞傷害活性を修飾するモノクローナル抗体Yuri3を樹立した。Yuri3抗体が認識する抗原の発現分布をFACSを用いて解析した結果、Yuri3抗原は脾臓、骨髄、胸腺において全てのNKおよびNKT細胞に限局して発現することを見いだした。認識する抗原の発現が、マウス系統間で異なるかどうかを検討した結果、C57BL/6をはじめ、BALB/c,DBA/2,C3Hなどの種々の系統においてほとんど全てのNKおよびNKT細胞に発現することを見いだした。Yuri3陽性細胞は、強陽性と弱陽性の2集団が存在し、その発現パターンは既知のNK細胞表面分子とは異なるものであった。これらの結果から、Yuri3抗体は新規のNK細胞表面分子に対するモノクローナル抗体であることが明らかとなった。さらには、種々のマウス系統においてNKおよびNKT細胞マーカーとして有用であることも示された。polyI:cを腹腔内に注射したnkdマウスより調製した活性化NK細胞をエフェクターとして、Yuri3抗体が細胞傷害活性に与える影響を検討した。Yuri3抗体存在下ではsyngeneic targetに対する細胞傷害活性が誘導された。Yuri3抗体が認識する分子はNK細胞の標的認識に関与する可能性が高いことから、現在発現クローニングによって一次構造の同定を進めている。
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