研究概要 |
ヒトα_<1a>アドレナリン受容体の第3細胞内ループにアミノ酸変異(271A1a/Thr)を導入したconstitutive active mutantを用いて,inverse agonist,neutral antagonistを検索し,以下の結果を得た。 1. 変異α_<1a>アドレナリン受容体はnoradrenalineなどagonistに対し野生型より約10倍高い親和性を示した。しかし,prazosinやKMD-3213などのantagonistに対する親和性には変化を認めなかった。 2. 変異受容体を発現したCHO細胞のIP3産生能はagonistを処置しなくても持続的に上昇していた。そして,この上昇はprazosinで抑制されたが,KMD-3213は影響せず,むしろprazosin作用に拮抗した。 3. 細胞の代謝状態を細胞近傍外液の酸性化率を指標に検出できるcytosensorを用いて調べたところ,prazosinは変異型のベースの酸性化率を低下させた。しかし,KMD-3213はベースの酸性化率に影響せず,parazosinの作用を遮断した。 4. parazosinなどのantagonistを培養培地中に加えておくことにより,変異型では著明な受容体密度の上昇(upregulation)を引き起こした。これに対し,KMD-3213はupregulationを惹起せず,prazosinによるupregulationを抑制した。 5. 以上の結果より,α_<1a>アドレナリン受容体のantagonistにはprazosinのようなinverse agonistと,KMD-3213のようなneutral antagonistが存在すること,前者の解析にはconstitutive active mutantが有用であることが明らかとなった。
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