研究概要 |
目的)エストロゲンの内皮細胞NO合成酵素(eNOS)遺伝子を介した抗動脈硬化作用を検討した。エストロゲン/エストロゲン受容体複合体のeNOS遺伝子を介したNO作用を確認した。方法)in vivo)コレステロール負荷家兎動脈硬化症における、エストロゲンの抗動脈硬化作用とNOの関与を検討した。NOS阻害剤投与下(内因性NO除去時)のエストロゲン作用を検討した。血清脂質、血管反応(NO関連),血管壁からのNO.ONOO^-、O_2^-測定,血管壁免疫組織学的検討,免疫電顕法により検討した。in vitro)エストロゲンの各NOSアイソフォームへの作用を分子生物学的に検討した。1、eNOS,nNOSに対してNO分泌、酵素活性,蛋白,mRNAレベルで検討した.eNOS geneにおけるERBE(estrogen responsive binding element)に対する作用を検討した。牛胎児大動脈及びヒトumbilical vein培養内皮細胞NOS遺伝子上のERBEを介した、エストロゲンの作用を3'領域から検討した。2、エストロゲンのiNOSへの作用を転写レベル、iNOS活性化機構における作用から検討した。結果)in vivo)エストロゲンは内因性、及び外因性とも抗動脈硬化作用を持っていた。NOの寄与する部分は、NOS阻害剤投与下の実験から50%以上と推測された。in vitro)エストロゲンにeNOS活性化作用を認めた。エストロゲンは受容体と結合後、ERBEに結合した。3'側からも、eNOS上昇作用があった。nNOSに対しても同様に作用し、iNOSの誘導は受容体依存性に抑制した。結論)エストロゲンはeNOS,nNOSの活性化を介して抗動脈硬化作用を持っている可能性が示唆され、その細胞内制御機構にはNOSの遺伝子を介したものである可能性が示唆された。
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