研究課題/領域番号 |
10169238
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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研究分担者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (30240849)
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00107103)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | PACAP / 受容体 / 交感神経系 / シグナルペプチド / 脱感作 / VIP |
研究概要 |
PACAP.VIPは脳や末梢神経系などにおいて重要な生理機能を果たすペプチド性神経伝達物質である。本研究では交感神経節において、これらペプチドが果たす生理作用機構を解明するために以下の各検討を行った。 (1) ノックアウトマウスの作製とその解析 既に作製したPACAP受容体遺伝子のエクソン2(翻訳開始ATGコドン-シグナルペプチドをコードする)欠損マウスの機能について野生型と比較・検討した。 (2) PACAP受容体の機能的発現の調節機構について HAエピトープ標識PACAP受容体cDNAを作製し、発現系を用いて、PACAP受容体の翻訳後修飾について検討した。その結果、原形質膜とともに核周辺のおそらく小胞体とゴルジ体にも強い発現が観察された。さらに受容体のシグナルペプチドの機能について解析した結果、シグナルペプチドがGolgi体における糖鎖付加に重要な役割を果たし、その欠損によって正常な修飾が阻害され、局在性の変化と安定性の低下が起こることが示唆された。 (2) 交感神経細胞の分化誘導にともなうPACAPおよびPACAP受容体の発現誘 PACAPおよびPACAP受容体遺伝子の5′ー隣接配列の転写促進活性について確認し、さらに、両者の活性化が、交感神経の分化誘導因子である神経成長因子(NGF)によって、促進されることを見出した。 (4) 受容体の脱感作 細胞内シグナルの活性化能と、受容体蛋白の細胞内局在を免疫組織化学とFACS法を用いて調べた。その結果、数時間単位の長期リガンド曝露によってシグナル伝達レベルの脱感作が認められ、それには受容体のインターナリゼーションが関与することが明らかとなった。 以上の結果より、交感神経系細胞においてPACAP受容体シグナル系はオートクリン正帰還機構に関与している可能性が示唆され、またそのシグナル伝達は、いわゆる“spare receptor"reserveによって、効率的かつ持続的であるのではないかと考えられた。本研究によって、長時間の活性化を伴う生理現象におけるペプチドシグナル伝達機構の一様式が解明されたと考えている。
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