研究課題/領域番号 |
10169251
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大塚 雅巳 熊本大学, 薬学部, 教授 (40126008)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アポトーシス / アポトーシス耐性細胞 / 活性酸素 / 抗がん剤 |
研究概要 |
アポトーシスは細胞自身にプログラムされた自殺機構で、TNFやFasリガンドが細胞表面の受容体に結合すると細胞内シグナル伝達経路が作動し、アポトーシスが誘導される。本研究ではアポトーシスに至るシグナル伝達を担う活性酸素を標的とし、活性酸素を発生・消去する人工化合物の分子設計と合成を行ない、がん細胞に対するアポトーシスの誘導を検討した。 研究代表者らはピリジン骨格の2位と6位に対称的にヒスチジンなどの金属キレート性側鎖を導入した化合物を合成したところ、それは強力な酸素活性化能力を示し、マウス白血病細胞L1210、ヒト白血病細胞HL60などのかん細胞にアポトーシスを誘導することが分かった。その際、脂質の過酸化や抗酸化剤の作用などを検討したところ、化合物によるアポトーシスに活性酸素が有意に作用していることを示唆する結果が得られた。 アドリアマイシンなどの現用抗がん剤に対してアポトーシス耐性なヒト膵がんAsPC-1細胞への合成化合物の作用を検討したところ、時間・濃度に依存した細胞死が誘導された。この細胞死は、細胞の形態変化、核の断片化などの特徴からアポトーシスであると確認された。人工化合物がアポトーシス耐性がんAsPC-1細胞にアポトーシスを誘導する機構について種々検討した結果、抗酸化剤アスコルビン酸によりアポトーシスが阻害されることから、このアポトーシス誘導または実行の過程において活性酸素種が関与していることが示された。本研究により得られた人工化合物は、アポトーシス誘導という作用機序の抗がん医薬への基礎となるものと考えられる。
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