研究課題/領域番号 |
10169252
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 稔 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50012638)
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研究分担者 |
大矢 進 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (70275147)
村木 克彦 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (20254310)
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (60117794)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 単離平滑筋細胞 / レーザー共焦点顕微鏡 / 興奮収縮連関 / Ca^<2+>依存性K^+チャネル / 膜直下筋小胞体 / 局所遊離Ca^<2+> / リアノジン受容体 / Ca^<2+>スパーク |
研究概要 |
単離平滑筋細胞に電位固定法を適用し、膜電流を記録するとともに、記録電極内からfluo-3を細胞に負荷しレーザー共焦点顕微鏡を用いて細胞内Ca^<2+>分布画像を同時に取得する手法を用いて、精管・膀胱・門脈等の興奮性の高い平滑筋細胞における興奮収縮連関の画像解析とCa^<2+>依存性K^+チャネル活性化の解析を行い、次の知見を得た。(1)細胞膜直下に局在する特定の筋小胞体(の一部分)は、活動電位などの脱分極時に、電位依存性Ca^<2+>チャネルを介したCa^<2+>流入によるCa^<2+>遊離機構の起点となり、数百ミリ秒持続するCa^<2+>ホットスポットを形成する。(2)膜直下筋小胞体からの局所遊離Ca^<2+>によるK^+チャネル活性化は、活動電位波形を制御し活動電位発生頻度を調節する。(3)この局所Ca^<2+>遊離は他の筋小胞体へCa^<2+>遊離を伝播した場合にのみ、収縮を誘発する可能性が高い。(4)このようなCa^<2+>ホットスポット形成という特定機能を持つ膜直下筋小胞体の数は、1細胞当り比較的少数(<20)と考えられる。 一方、保持電位-40mV付近での観察から、膜直下の特定の筋小胞体(数箇所)から、自発的な一過性局所Ca^<2+>遊離(Ca^<2+>スパーク)が繰り返し生じ、近傍の細胞膜上のCa^<2+>依存性K^+チャネル(10-100個)を活性化することにより自発性・一過性の外向き電流(STOC)が生じることが示唆されている。Ca^<2+>スパークとSTOCの持続時間は半値幅50ミリ秒程度で、その発生に外液Ca^<2+>の流入は直接必要ではなく、特定の筋小胞体からのリアノジン受容体を介する自発性Ca^<2+>遊離によると考えられる。今回、上記の活動電位発生初期に重要な働きをする特定の筋小胞体のさらに一部で、Ca^<2+>スパークがほぼ定期的に生じるていること、それがSTOCと完全に同期していることを画像解析と膜電流の同時記録により明らかにした。Ca^<2+>スパークは心筋や骨格筋において興奮収縮連関の最少ユニットとして解析されている。一方、横行小管と筋小胞体の発達が悪い平滑筋においては、細胞膜直下の筋小胞体で生じるCa^<2+>スパークが細胞膜上のCa^<2+>依存性イオンチャネルを活性化して静止膜電位や興奮性、さらに筋緊張度の調節に関与していることが明らかとなった。静止時にSTOCを活性化するCa^<2+>スパーク部位は、脱分極時にはより大きく増幅され持続するCa^<2+>ホットスポット部位となる。
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